手をつなぐ子ら(1964) 作品情報

てをつなぐこら

寛太は松村学級の人気者だ。六年生にしては体格は平均以上あるのだが、成績の方はかなり下回っているようす。そんな寛太の一番の仲良しはボスの奥村、いつも二人は一緒だ。寛太は地面に穴を掘るのが好きだった。それを知っているもう一人のボス、ヤマキンが、ある日、送電線の鉄塔が並んでいる広場で声をかけた。「お前頭が良くなりたいやろ、それやったらここに穴掘ってそん中へ入り首だけ出しとるんや、電波の作用で頭が良くなるで」寛太はそれを信じて身体を埋めた。やがてヤマキン達は帰ってしまい、夕焼けも終って灯がつき始めた。そこへ通りかかった奥村のお姉さんがびっくりして助け出してくれた。寛太は、親切でとてもきれいなこのお姉さんが松村先生のお嫁さんになったらなあ、と思うのだった。学校委員選挙の日、奥村は自分を投票するように頼んでおいたのだが、寛太は名前を書き間違えてしまった。奥村は、カンカンだ。貸本屋の矢崎が、ヤマキンの父親の大切にしている茶杓を持ち出そうといいだした。矢崎におどかされたヤマキンは、寛太をだまして茶杓を盗ませようとした。実際に家の中に忍び込んで茶杓を持ち出したのは矢崎だったが、覆面をしてうろついていた寛太はヤマキンのお父さんに会ってしまった。お父さんは松村先生の所へ相談に行ったが、先生にはどうも寛太が人のものを盗んだとは思えなかった。奥村が本当のことを聞き出そうとしたが、ヤマキンから口止めされていた寛太はなんにも喋ろうとしなかった。前の男の約束を思い出したからだが、噂は学校中に広がってしまった。そんな時、学校の裏の広場で矢崎と出会った寛太は、茶杓を返すように言った。けれども逆におどかされた寛太は夢中で矢崎に飛びついて、死にもの狂いで取っ組み合った。運よく警官が駈けつけて茶杓は無事戻ったが、寛太は最後までヤマキンのことは口に出さなかった。やがて卒業式の日がやってきた。寛太とヤマキンは同じ中学校へ行くことになった。寛太の家を訪れたヤマキンは、屋根の上にいる寛太と一緒に大空に浮んでいる白い雲をそっと見上げるのだった。

「手をつなぐ子ら(1964)」の解説

かつて稲垣浩が映画化した、田村一二原作、故伊丹万作脚色から、「充たされた生活」羽仁進と内藤保彦が共同で潤色、羽仁進が監督した子供の世界を描いたもの。撮影もコンビの長野重一。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督羽仁進
原作田村一二
出演佐藤英夫 森原幸雄 植田元求 香西純夫 谷口善信 寺本好広 田村孝 安里親義 河野三千雄 西野薫 大野博央 薮谷美恵 伊藤陽司 山崎耕一郎 北城由紀子 新屋英子 道井恵美子
配給 大映
制作国 日本(1964)
上映時間 100分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-09-29

日本映画専門チャンネルで左幸子主演の〈アンデスの花嫁〉を視ていたら前に東京・阿佐ヶ谷のラピュタで観た本編を想い出した。アンデス~は蒙古斑の有る赤子や遺跡発掘など文化人類学的視点も新鮮だった!現地の子どもたちをドキュメンタリーのタッチで描く時、本編同様に羽仁進監督の手腕が見事に発揮される。苛めっ子の存在等考えさせられる多くの社会的視点もー。

最終更新日:2022-07-26 11:03:52

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