P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-14
そして、この映画は、中島貞夫監督の「鉄砲玉の美学」とともに、ATGが芸術映画から転進する節目の作品となったという意味でも、重要な作品だろう
つがるじょんがらぶし
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そして、この映画は、中島貞夫監督の「鉄砲玉の美学」とともに、ATGが芸術映画から転進する節目の作品となったという意味でも、重要な作品だろう
この「津軽じょんがら節」は、「約束」「旅の重さ」に続く、斎藤耕一監督の"風土三部作"の第三作目の作品だ。
ヤクザ組織から追われる青年が、愛人の郷里である、津軽の漁村に流れて来る。
都会からもはみ出し、田舎にも馴染めなかった青年は、老いた漁師と盲目の少女と知り合い、この村に腰を落ち着けようとする。
しかし、その時、ヤクザの追っ手が--------。
人間のドラマ以上に、心に残るのが、どんよりと垂れ込める灰色の空、次々と押し寄せる北国の荒波だ。
全篇を貫くこの風景は、若者の叶う事のない、老いた漁師と盲目の少女の夢でもあった、ふるさと作りを拒否する、運命のようにいつまでも続いていく。
前二作に比べて、自然の厳しさと、その中での人間の卑小さと、それ故の愛おしさが強調されていると思う。
また、タイトルにあるように、白川軍八郎と高橋竹山の津軽三味線が、印象的に使われている。
高橋竹山が、渋谷のジァンジァンで、ライブをスタートさせて、新しい音楽として見出された時期だったという意味でも、タイムリーな作品だったのだろう。