化粧 作品情報

けしょう

京都・原谷。料亭・蔦乃家の三姉妹、頼子、里子、槙子と女将のつねが、里子の夫で婿養子の菊雄を交え桜の咲き乱れる中、甘酒を飲んでいる。一行は二十歳で自殺した頼子の双子の・姉・鈴子の墓参りの帰りであった。忘れ物をして墓に戻った頼子は、そこで鈴子を自殺に追いやった男・熊倉と出逢う。鈴子の分身であった頼子にとって、彼は心底憎い男だった。つねは幾代も続いた老舗・蔦乃家の娘で芸妓となり、やがて京大の助手をしていた青年と恋をした。彼女は青年の子を宿していたが、生木を裂くようにして別れさせられ、生まれたのが鈴子と頼子である。そして、婿をとったつねは、里子と槙子を儲けるが、夫は幼い子供たちを残して他界したのだった。東京・銀座でクラブ・アジュールのママをしている頼子のもとに、熊倉が現われる。彼は昔、祇園で遊んでいた頃と変り、商売に失敗し落魄れはてていた。蔦乃家の若女将である里子は、男らしさに欠ける菊雄に満たされないものを感じていた時、東京のコンピュータ企業の専務・椎名と出会う。七月、里子は椎名に逢うため、友人の結婚式を口実に上京し、愛を確かめあった。槙子は、東京の女子大で気ままな学生生活を送っていたが、マリファナを吸った容疑で警察に捕まり、実家に戻される。熊倉がある晩、大協デパートの経営者秋山を連れてアジュールにやって来た。数日後、彼に呼び出された頼子は、秋山と一晩だけつきあってくれと懇願される。それは、熊倉が大量に買いつけた品物を、秋山が買い取ってくれるための条件であった。復讐心の湧いた頼子は、熊倉との取引きをやめたら、一度だけいうことを聞くと秋山に告げた。里子との仲を知られた椎名は、マニラにとばされたが、里子は椎名の子を身篭っていた。槙子が銀行の頭取の息子小泉志郎と結婚することになり、結納を交わした日の夜、里子は、つねにお腹の子の父親を打ちあけた。驚いたつねは怒り彼女を許さなかった。里子は家を出て、自力で子供を育てる決心をする。頼子は店の改築を頼んだ若いデザイナー日下に好意を持つ。熊倉が自殺したと知らされた日、彼女は日下と結ばれた。数日後、日下が熊倉の息子だと知った頼子は、激しい自責の念に襲われ京都に戻り、滝にうたれるのだった。菊雄は蔦乃家から出たいとつねに頼んだ。春になり、桜見物に出かけたつね、頼子、槙子のもとに、男の赤ん坊を抱いた里子が現われ、つねと和解するのだった。

「化粧」の解説

京都の老舗の料亭を舞台に、そこの女将と美しい三姉妹がくり広げる様々な生き方を描く。渡辺淳一原作の同名小説の映画化で、脚本は「魚影の群れ」の田中陽造、監督は「無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ」の池広一夫、撮影は「きつね」の坂本典隆がそれぞれ担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1984年5月12日
キャスト 監督池広一夫
原作渡辺淳一
出演松坂慶子 池上季実子 和由布子 京マチ子 柄本明 中井貴一 曽我廼家明蝶 穂積隆信 三木のり平 中尾彬 井上純一 滝田裕介 林ゆたか 鈴木瑞穂 内藤武敏 南風洋子 竹脇無我 伊丹十三
配給 松竹
制作国 日本(1984)
上映時間 136分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「かじ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-01-04

20代の時、レンタルビデオで借りて見ました。京都弁の松坂慶子さん、次女の池上季実子さん、とてもお淑やかで美しく、憧れました。
印象深いシーンは、池上季実子さんが妊娠してしまい、逆境にいる時に、長女の松坂慶子さんが、ええ子を産んでや、と優しく言葉をかけた場面です。なんとも言えない優しい場面で、未だ忘れられません。もう一度、見たい作品です。

最終更新日:2023-01-14 16:00:02

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