去年マリエンバートで 作品情報
きょねんまりえんばーとで
豪奢だが、どこか冷たいたたずまいを見せる城館に、今日も富裕らしい客が、テーブルを囲み、踊り、語って、つれづれをなぐさめている。まるで凝結したような、変化のない秩序に従った生活。誰も逃げ出すことの出来ない毎日なのだ。この城館の客である一人の男が、一人の若い女に興味をもった。そして男は女に、「過去に二人は愛しあっていた、彼は女自身が定めたこの会合に彼女を連れ去るために来た」と告げた。男はありふれた誘惑者なのか、異常者か?女はこの突飛な男の出現にとまどった。だが男は真面目に、真剣に、そして執拗に、少しづつ過去の物語を話して聞かせながら言葉をくり返し、証拠を見せる……。女はだんだん相手を認めるようになった。しかし、女は今迄自分が安住していた世界を離れることに恐怖を感じた。それはやさしく、遠くから彼女を監視しているようなもう一人の男、多分彼女の夫である男によって表現される世界であった。だが、彼女は、男によって、真実性を帯びてくるつくられた話に抵抗できず、ためらい、苦悩する。今や苦悩は女の現実であり真実となった。現在と過去はついに混り合った。三人の間の緊張は女に悲劇の幻想さえおこさせたが、ついに女は男の望んだ通りの存在であることを受け入れ男とともに、何ものかに向って立ち去った。それは、愛か、詩か、自由か……それとも死かもしれないのだが……。
「去年マリエンバートで」の解説
アラン・ロブ・グリエの脚本を「二十四時間の情事」のアラン・レネが監督した心理ドラマ。撮影はサッシャ・ヴィエルニー、音楽はフランシス・セイリグ。ピエール・クーロー、レイモン・フレーメンが共同で製作を担当した。出演はデルフィーヌ・セイリグ、「エヴァの匂い」のジョルジョ・アルベルタッツィ、「スパイ」のサッシャ・ピトエフなど。ヴェネツィア国際映画祭でグランプリを受賞している。黒白・ディアリスコープ。2019年10月、4Kデジタル・リマスター版が公開(配給:セテラ・インターナショナル)。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:アラン・レネ
出演:デルフィーヌ・セイリグ ジョルジョ・アルベルタッツィ サッシャ・ピトエフ |
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配給 | 東和 |
制作国 | フランス(1960) |
上映時間 | 94分 |
(C)1960 STUDIOCANAL - Argos Films - Cineriz
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ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「シンメトリー繰り返しの美学」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-12-27
シンメトリーの
常に、対照的で、繰り返しの連続性の会話は、過去の意味の無い思わせ振りな。
日本や東洋が、奇数で、アシンメトリー的であるのと対照的。
常に、人間性の哲学で答えを過去に求め、その思考と言う哲学の迷路から、永遠に抜けれない。
アシンメトリーな、自然の中にある哲学、無と言う無限の可能性に託せない。
男と女の対照性のバランスをもてあそび、偶数のゲームを楽しむ。
アシンメトリーな、アンバランスだが、ダイナミックな今を生きれない人間哲学の迷宮。
明日にさようなら、
今日にこんにちは。
過去ばかり話題にし、明日を夢見るシンメトリー。
常に、ダイナミックに今を生きるアシンメトリー。
シンメトリーの迷宮に、迷い込み、人々は目覚めない。