ボッカチオ’70 作品情報
ぼっかちおななじゅう
〔くじ引き〕北イタリアを渡り歩く移動見世物の一団に属する射的小屋で働くゾーエ(ソフィア・ローレン)は、店の呼び物である土曜の夜の秘密のクジ引きの景品娘として客を集めていた。店のおかみさんが妊娠、そのための費用稼ぎの窮余の一策だったが大評判。ある日、ゾーエは村の若者と恋におち、初めて景品になったことを残念に思った。問題の夜、クジに当ったのは村の墓掘り人足だった。あの男に女は無用と、男たちは当りクジを譲ってくれと言うが、老母から一生の思い出にと勧められ、楽しい一刻を持とうと決心した。若者は絶望した。だがゾーエは二人だけの秘密にしておくからと約束、集めた金を与え、男に帰ってもらった。ゾーエは足を洗って若者と結婚を決意する。何も知らぬ町の人々は墓掘り人足を「今日の英雄」ともてはやした。 〔誘惑〕禁欲主義者で通っているアントニオ博士(ペッピノ・デ・フィリッポ)のアパートが面している広場に、ある日、巨大な看板が立てられた。身の丈十八メートルもあるブロンド美人(アニタ・エクバーグ)がソファーに寝そべっている絵が描かれていて、それが艶然と博士の窓に微笑みかけている。これほど博士の気にさわったことはない。博士は友だちの助けを借りて看板の女をおおいかくしたが雨のお陰で、おおいは流れ去った。すると奇妙なことが起った。雲つく美女が看板から抜け出てきた。博士は夜通し彼女と遊び回った揚句、彼女を殺してしまった。翌朝、大看板の頂上に下着姿でへばりついている博士が発見され、病院へ送られた。 〔前金〕若くてハンサムなミラノの伯爵(トマス・ミリアン)がフランスで遊び回ったことがバレてしまった。帰国した伯爵は大慌て、彼が一番気にしたのはプーペ夫人(ロミー・シュナイダー)だった。彼の生活費は夫人の父親から出ていた。夫人は大して気にしていない様子だったが、父から生活費をもらっているのを潔く思っていなかったので、これを機会に夫の浮気を封じるとともに自活しようと考えた。父親は半信半疑、自活できるならやってごらん、一年つづいたら一財産進呈しようと賭けをした。夫人は伯爵が通っていたコールガールたちと会い色々研究して帰った。伯爵は夫人の新しい魅力に驚いた。それを見た夫人はおもむろに申出た。「外で遊びたくなったら私のところへいらっしゃい、でも料金は規定通り頂きますよ」と。伯爵は一も二もなかった。その夜早速、夫から電話……。夫人は複雑な気持でスカートをぬぎにかかった。
「ボッカチオ’70」の解説
第一話は「豊かなる成熟」のチェザーレ・ザヴァッティーニの脚本を「ふたりの女(1960)」のヴィットリオ・デ・シーカが監督。撮影はオテロ・マルテリ、音楽はアルマンド・トロバヨーリ。出演は「エル・シド」のソフィア・ローレンにルイジ・ジュリアーニ、アルフィオ・ヴィータ。第二話は「甘い生活」のスタッフであるフェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネリの共同脚本をフェリーニが監督。撮影オテロ・マルテリ、音楽ニーノ・ロータも「甘い生活」のスタッフ。出演は「甘い生活」のアニタ・エクバーグにペッピノ・デ・フィリッポ。第三話は「若者のすべて」と同様にスーゾ・チェッキ・ダミーコとルキノ・ヴィスコンティが脚本を書きヴィスコンティが監督、ジュゼッペ・ロトゥンノが撮影、ニーノ・ロータが作曲した。出演は「恋ひとすじに」のロミー・シュナイダーにトマス・ミリアンなど。製作はカルロ・ポンティ、アントニオ・チェルヴィ、チェザーレ・ザヴァッティーニ。なおイタリア版は四話から成っており、第二話として「レンツォとルチアーナ Renzo and Ruciana(監督マリオ・モニチェリ)」が入っている。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
フェデリコ・フェリーニ
ルキノ・ヴィスコンティ
出演:ソフィア・ローレン ルイジ・ジュリアーニ アルフィオ・ヴィータ アニタ・エクバーグ ペッピノ・デ・フィリッポ ロミー・シュナイダー トマス・ミリアン ロモロ・ヴァッリ |
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配給 | MGM |
制作国 | イタリア フランス(1962) |
上映時間 | 168分 |
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