赤道 作品情報

せきどう

1950年のアフリカリーブルビルの港。たった今、フランスからの貨物船が到着し、アングレーム市長である伯父の推薦状を頼りにやってきたティマール(フランシス・ユステール)が降り立った。エリートで将来を約束されていた彼が故国を捨てこの地にやって来たのは、自然の大地で、自分の可能性を碓かめるためだ。しかし、現地に着いた早々、彼の決意はゆらいでしまった。泊まることになったホテルは陰湿な空気がたちこめ、人々は無気力な表情を見せていた。マラリアにやつれた老主人ユジェーヌ(ルネ・コルデホフ)は無愛想だ。夜、蚊帳の張りめぐらされたせまい部屋で寝ついた彼の目の前に、一人のブロンド美人が現われた。彼女はティマールに近づくと、妖しい視線をなげかけ彼に体を重ねた。翌日、ティマールは、その女がアデル(バーバラ・スコヴァ)という名のドイツ女で、老主人の妻であることがわかった。一夜にして彼女のとりこになったティマールは、彼女の行動を追った。しかし、昨夜のことがうそのように彼女の態度は冷たく謎めいた部分が多い。やがて、ホテルの黒人のボーイが殺された。そのボーイはアデルが昼間口論していた相手だ。警察に呼ばれたティマールは、そこで初めてアデルとユジェーヌがフランスとドイツから追放されている身であることを知った。二人は婦女売買や麻薬密売といった危険な仕事に手を染めていたのだ。ティマールがホテルに戻ると、ユジェーヌは死んでいた。その後、殺されたボーイの兇器となった銃がユジェーヌのものであることが判明した。うんざりしたティマールは未開の奥地に進むとアデルに告げた。しかしアデルは彼をひきとめ、一財産できるいい仕事があるので二人で組もうと誘った。その仕事とは、森の奥の払い下げの土地を利用して、有益な開発地にするというものだ。その権利を更新するためには、ティマールの伯父の力が必要だったのだ。言われるままに伯父の協力を要請するティマール。全ては思い通りに進み、二人は、オグエ河の流れを逆上り、払い下げ地のある岬に向かった。途中で降り立った村で、アデルがどこへともなく姿を消した。数時間たって戻って来た彼女は、しかし何の説明もしなかった。再び船は出発した。太陽は容赦なくティマールを灼きつけ、アルコールに溺れていた彼は熱病にかかった。やがて回復したティマールは、リーブルビルからやって来た行商人から、例の黒人殺しの犯人が検挙されたことを聞いた。その男は無罪を主張しているという。ティマールは疑惑を抱き、とある村で彼女を問い質した。彼女は告白し、ティマールとのアヴァンチュールを夫に告げると脅されたので彼を殺したと告げた。ホテル・セントラルに戻ったティマールは、アデルが証人として裁判に召喚されることを聞いた。さらに、その村の林務官たちの多くがアデルと肉体関係のあることも知った。判決の日、ティマールは叫んだ。「犯人はアデルだ!」しかし、林務官たちが押え、黒人の絞首刑が決まった。フランスに向かう貨物船のデッキで、ティマールは悪夢のような出来事を反復し、すべてを忘れようとしていた。

「赤道」の解説

未開の地アフリカに将来の希望を託して乗り込んだフランス男の夢と挫折と恋をサスぺンス・タッチで描く。製作はルイス・ウィプフ。監督・脚本・台詞・音楽は「ジュ・テーム…」のセルジュ・ゲンズブール、原作はジョルジュ・シムノン(“Coup de Lune”)、撮影はウィリー・クラント、編集はバベット・シ・ランダーヌが担当。出演はバーバラ・スコヴァ、フランシス・ユステール、ルネ・コルデホフ、フランソワ・ディレク、ジャン・ブイーズ、ジュリアン・ギオマール、ロラン・ブランシュなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1984年9月29日
キャスト 監督セルジュ・ゲンズブール
原作ジョルジュ・シムノン
出演バーバラ・スコヴァ フランシス・ユステール ルネ・コルデホフ フランソワ・ディレク ジャン・ブイーズ ジュリアン・ギオマール
配給 ゴトーオフィス=デラ・コーポレーション
制作国 フランス(1983)

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最終更新日:2022-07-26 11:03:59

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