プライベート・ケース 感想・レビュー 1件

ぷらいべーとけーす

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P.N.「鎌倉の隠居」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2026-06-04

 ジョディ・フォスターが全編、流暢なフランス語でパリ在住の精神分析医を演じた『プライベート・ケース』は、今年3月に渋谷で開催されたフランス映画祭でオープニング作品としてジャパンプレミア上映され話題となった。同作は、昨年のカンヌ国際映画祭に正式出品された一本だが、共演者として今年のカンヌで岡本多緒とともに『急に具合が悪くなる』での演技により主演女優賞の栄誉を得たヴィルジニー・エフィラが重要な配役で登場する。夏の公開時にはそのことも加わり広く関心を集めることになるだろう。
 作品はミステリー仕立ての心理劇である。冒頭いきなり禁煙治療の無力を責め立てられ、それに輪を掛けるようにして長年治療を続けてきた患者の自死を告げられ葬儀の場で患者の夫から責任を追及、罵倒される。物語は、この自死が実は夫か娘による殺害ではなかったかと不審を抱き、それを突き止めようとする精神分析医の行動が主軸となるのだが、これに精神分析医自身の内面の自縛が大きく絡み合ってくる。ジョディ・フォスターらしい濃密で緊迫した内実葛藤シーンの連続で観ていて息が詰まる。パリ在住のアメリカ人医師という設定がもたらす日常の微妙な違和感も見事なスパイスとなって物語に深みをもたらしている。別れた夫、関係が思わしくない息子家族、事件担当の警察官、殺害を疑う患者の夫、治療のありように疑義を差し挟む恩師、静謐をかき乱す階上の住人等々、関わるいずれもがひと癖もふた癖もあるよう男たちばかりで、精神分析医は翻弄される。アメリカ映画にあるようなステレオタイプな展開にはならず、物語はエスプリ豊かに進行し上質感に満ちたフランス映画らしい仕上がりで結末に向かう。
日本公開は7月24日予定。詳細は以下の公式サイトで。  cinema.starcat.co.jp/private-case/  

最終更新日:2026-06-19 02:01:21

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