八月の鯨 作品情報

はちがつのくじら

サラ(リリアン・ギッシュ)とリビー(ベティ・デイヴィース)の姉妹は60年来、夏ごとにメイン川の小さな島にあるサラの別荘にやって来る。そこの入江には8月になると鯨が来る。少女の頃、彼女たちはよく鯨を見に駆けていったものだった。しかし、それも遠い昔のことになった。リビーは、第1次世界大戦でサラの若い夫が死んだ時、彼女の面倒をみた。しかしリビーは病のため目が不自由になり、今度はサラが2人の人生の責任を持つようになる。リビーはわがままになり、言葉にとげを持つようになっていた。他人に依存しなければ生きていけない自分に腹を立てていた。彼女たちの家には、幼馴染みのティシャ(アン・サザーン)や修理工のヨシュア(ハリー・ケイリー・ジュニア)、近くに住むロシア移民のマラノフ氏(ヴィンセント・プライス)らが訪ねてくるがリビーは無関心を装う。ある日、サラはマラノフ氏を夕食に招待した。リビーとのいさかいで、料理はちょっと失敗だったが、お互いの昔話に2人は時がたつのを忘れた。だがマラノフ氏は、リビーのとげのある言葉に傷ついて腰をあげる。サラは姉のことを詫び、「貴方は1人かも知れないけれど、自由でうらやましいわ」と言うと、貴方はロマンチストだと笑って、マラノフ氏は帰っていった。リビーは何よりもサラが去って一人ぼっちになることを恐れていたのだ。やがて彼女はヨシュアが勧めていた、大きな窓を別荘の居間の壁に取り付けることを認めることで自分の思いをサラに届けようとした。そして再び鯨を見ることを夢見ながらの彼女たちの暮らしは続いていった…。

「八月の鯨」の解説

小さな島のサマー・ハウスで夏を送る老姉妹のささやかな日常生活を描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはシェップ・ゴードン、製作はキャロライン・ファイファー、マイク・キャプラン、監督はリンゼイ・アンダーソン、脚本はデイヴィツド・ベリー、撮影はマイク・ファッシュ、音楽はアラン・ブライスが担当。出演はベティー・デイヴィス、「ハンボーン」のリリアン・ギッシュ、ヴィンセント・プライスほか。87年カンヌ国際映画祭特別賞(リリアン・ギッシュ)、87年全米映画批評家委員会賞最優秀女優賞。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1988年11月26日
配給 ヘラルド・エース=日本ヘラルド
制作国 アメリカ(1987)
上映時間 91分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-12-06

リビーとセーラの老姉妹は、毎年夏になると、小さな島の別荘に滞在していた。
夏にだけ、その入り江にやってくる鯨を見たいのだ。

少女の頃からずっと、それが夏の楽しみだった。
しかし、今年はまだ鯨が現れない。
代わりに現れたのは、亡命ロシア貴族のマラノフ老人や大工のジョシュアだった。

この物語は、きらめく夏の太陽の日差しの中で、静かに老いていく人々を、温かく見詰めている。

老いてなお、少女の頃から胸に抱きしめている憧れを、八月の鯨に象徴させ、老人たちの細やかな仕草のひとつひとつが、限りなく美しく輝く名作だと思う。

最終更新日:2023-12-16 16:00:02

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