まあだだよ 作品情報

まあだだよ

昭和一八年の春。先生は生徒たちへ、作家活動に専念するため、学校を去ることを告げた。生徒たちは『仰げば尊し』を歌い敬愛する先生を送る。退職後に引っ越した家にも、高山、甘木、桐山、沢村ら門下生たちが遊びにやって来る。といっても皆、中年のいい大人なのだが。ある日、先生の家で還暦の祝宴が開かれた。先生と奥さん、門下生たちの馬鹿鍋を囲みながらの楽しい会話が弾むが、戦時下のこと、空襲で水をさされてしまう。先生の家は空襲で焼けてしまい、知人の厚意で貸してもらった、三畳一間の堀建小屋暮らしを余儀なくされる。先生と奥さんは狭いこの小屋で夏、秋、冬、春……三年半を暮らす。昭和二一年の晩春、門下生たちの画策で第一回『摩阿陀会』が開かれた。元気な先生はなかなか死なない、そこを洒落で死ぬのは『まあだかい?』というわけだ。吉例となっていくビールを飲み乾して先生は『まあだだよ!』と答える。宴会は盛り上がり、混乱の極致である。門下生たちの尽力で新しい家ができた。先生はお礼の申しようもないと感謝し、幸せそうである。猫を抱いた奥さんも嬉しそうだ。ある日、先生もお気に入りの猫、ノラがふいに失踪する。以来先生は哀しみにくれる毎日を過ごす。ノラを捜す周囲の人たちの善意に、先生の胸は感激でいっぱいになった。昭和三七年、晩春。第十七回の『摩阿陀会』。先生の髪は白くなり、門下生たちは子供や孫を同伴しての出席である。先生は小さな子供たちへ言葉を贈る。『みんな、自分が本当に好きなものを見つけて下さい……』。途中で体調をくずした先生は、門下生に付き添われて家へ帰る。布団の中で眠る先生は、なんだか楽しそうな顔をしている。先生は夢を見ているらしい。

「まあだだよ」の解説

『百鬼園随筆』などの随筆家・内田百けんとその門下生たちとの心のふれ合いを様々なエピソードで綴るドラマ。「八月の狂詩曲」(91)に続く黒澤明監督の三十作目であり、「姿三四郎(1965)」でデビュー以来監督生活五十周年目という記念すべき作品。結果黒澤監督の遺作となった。また「影武者」以来演出補佐を務めた名パートナー・本多猪四郎はこの作品を最後に本年二月二十八日死去した。主人公の先生役には「どですかでん」以来の黒澤作品出演となる松村達雄が扮し、また門下生の一人として所ジョージが黒澤作品に初出演をして話題となった。キネマ旬報ベストテン第十位。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1993年4月17日
キャスト 監督黒澤明
原作内田百ケン
出演松村達雄 香川京子 井川比佐志 所ジョージ 油井昌由樹 寺尾聰 小林亜星 日下武史 平田満 渡辺哲 頭師孝雄 松井範雄 林昭夫 冷泉公裕 岡本信人 竹之内啓喜 吉岡秀隆 山下哲夫 草薙幸二郎 谷村昌彦 久世浩 本間文子 鈴木美恵 頭師佳孝 西亨大 桜金造 板東英二 加藤茂雄 都家歌六
配給 東宝
制作国 日本(1993)
上映時間 134分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:44

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