カビリアの夜 作品情報

かびりあのよる

カビリア(ジュリエッタ・マシーナ)は不幸な生活を送りながらも、いつかは真面目な道に返ろうと望んでいた。恋人に河に突き落とされても彼女の性格は変らなかった。ワンダ(フランカ・マルツィ)を除いた仲間の女達は、夢想を語るカビリアを可哀そうな気違い女として扱っていた。しかし、或る晩、カビリアの夢物語が実現した。有名な映画俳優(アメディオ・ナザーリ)が豪華な自動車に彼女を乗せて、ナイトクラブから自分の豪邸へと連れていったのである。これは自分の魅力のためと喜んだのも束の間、この著名なスターの昔の愛人ジュシイ(ドリアン・グレイ)が突然そこへ現れたとき、この冒険は悲喜劇的な終りを告げた。浴室に入れられ俳優とその愛人の和解ばなしを聞かされても、幸福な想いにひたっているカビリアだったが、朝になると勝手口から追い出される始末だった。とうとう自分が分らなくなったカビリアは、仲間と一緒に教会へ行き生活に奇蹟が起るように熱心に祈った。それから幾晩か後郊外の小さな映画館の舞台で、彼女は妙な踊りを披露したがそこでオスカー・ドノフォリ(フランソワ・ペリエ)に会った。このおとなしく、若い会計係の青年は彼女に大変親切な態度を示した。オスカーの愛の言葉を聞き、カビリアは運命に感謝しながらも、自分の汚れた生活が分ってしまえば彼が去ってしまうと恐れるのだった。だが、オスカーはカビリアの過去など全くかえりみなかった。二人は旅行に出発した。奇蹟が実現したと思われたが、湖の畔まで来た時突然オスカーはカビリアに躍りかかった。オスカーが自分を殺すためにこの淋しい場所へ誘ったのだとカビリアは気づいた。カビリアの夢は無残にも崩れ去った。不幸にひしがれた彼女は、オスカーの前に膝まずき、自分を殺してくれるように懇願した。しかし、これはオスカーから殺意を失わせ、カビリアは救われた。セレナーデを奏でる子供達の一団を後に従え、カビリアは子供っぽい様子で立ち去って行くのだった。

「カビリアの夜」の解説

「道」のコンビ、フェデリコ・フェリーニとトゥリオ・ピネリがエンニオ・フライアーノの協力を得て書いたオリジナル・ストーリーを同じく三人が脚色、フェリーニが監督した、女の哀歓を描いた一篇。撮影は「戦争と平和」のアルド・トンティ、音楽は「道」のニーノ・ロータが担当した。主演は「道」につづきジュリエッタ・マシーナと「居酒屋(1956)」のフランソワ・ペリエ。それに「懐かしの日々」のアメディオ・ナザーリ、肉体女優のフランカ・マルツィ及びドリアン・グレイ、「道」のアルド・シルヴァーニなど。なおマシーナは、この作品で一九五七年カンヌ映画祭で最優秀女優演技賞を得た。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督フェデリコ・フェリーニ
原作フェデリコ・フェリーニ エンニオ・フライアーノ トゥリオ・ピネリ
出演ジュリエッタ・マシーナ フランソワ・ペリエ アメディオ・ナザーリ フランカ・マルツィ ドリアン・グレイ アルド・シルヴァーニ
配給 イタリフィルム=NCC
制作国 イタリア(1957)
上映時間 111分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2021-06-15

『ユリイカ 詩と詩評』誌「フェリーニの世界」特集号1994.9にはジュリエッタ・マシーナ自身に依る本篇出演の想い出や本篇に着想を与えたパゾリーニとの取材秘話,フェリーニ自身のイラスト等が納められていて興味を惹く。街娼と言う身を演じて其の役柄と抗う逞しさに就いてラストシーンの微笑み返しの意味を反芻し

最終更新日:2022-07-26 11:03:58

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