エレファント・マン(1980) 作品情報

えれふぁんとまん

19世紀末のロンドン。ロンドン病院の外科医フレデリック・トリーブス(A・ホプキンス)は、見世物小屋で、“エレファント・マン”〈象人間〉と呼ばれる奇型な人間を見て興味をおぼえた。ジョン・メリック(ジョン・ハート)という名をもつこの男を、フレデリックは、研究したいという理由で持ち主のバイツ(フレディ・ジョーンズ)からゆずり受ける。学会の研究発表では、トリーブスは大きな反響をえるが、快復の見込みは皆無だった。21歳と推定されるメリックは右腕がきかず、歩行も困難、言葉もはっきり発音できないという状態だった。院長カー・ゴム(サー・ジョン・ギールグッド)は、他の病院に移させることをトリーブスに告げるが、メリックとの面会で、彼が聖書を読み、詩を暗誦するのを聞いて感動し、病院に留まるようにと考えを変える。トリーブス夫婦に招かれて彼らの家を訪れたメリックは、トリーブス夫人(ハンナ・ゴードン)が美しく、メリックをやさしく扱ってくれることに感激し、涙を流しながら、誰にも見せたことのない美しい母親の写真を見せた。タイム誌に、メリックのことが報じられ、一躍有名人になった彼は、興昧を抱いた様々な人々の訪問を受ける。舞台の名女優ケンドール夫人(アン・バンクロフト)も、その一人だった。“商売品”を騙し取られたと、反感を持っていたバイツは、秘かにメリックを連れ出しヨーロッパヘ向かった。再び動物のような扱いを受け、容態の悪化したメリックは瀕死のところを見世物小屋の仲間に救われ、やっとロンドンにたどりつく。しかし、人々の好奇な目につきまとわれ、ついに“私は人間だ、動物じゃない”と叫ぶメリック。やっと、トリーブスのもとに戻れた彼は、ケンドール夫人の好意で観劇のひと時を過ごす。感激の時を過ごし部屋に戻ったメリックは、かねてより作り続けていた、窓から見える寺院の模型を完成させ、そこに自分の名を書き込んだ。そして、いつもの寝方であるうずくまって寝る姿をやめ、その夜は、人間たちがやるように仰向けになって眠りにつくのだった。それは安らぎに満ちたメリックの最後の姿であった。

「エレファント・マン(1980)」の解説

19世紀末のロンドンを舞台に、生まれながらの奇型ゆえ“エレファント・マン”と呼ばれ人間扱いされなかった実在の人物ジョン・ノリックの数奇な運命と彼をとりまく人間たちとの触れ合いを描く。製作はジョナサン・サンガー、監督は「イレーザーヘッド」に続きこれが二作目のデイヴィッド・リンチ、脚本はクリストファー・デ・ボア、エリック・バーグレンとデイヴィッド・リンチ、撮影はフレディ・フランシス、首楽はジョン・モリス、編集はアン・V・コーツ、製作デザインはスチュアート・クレイグ、衣裳はパトリシア・ノリスが各各担当。出演はジョン・ハート、アンソニー・ホプキンス、アン・バンクロフト、サー・ジョン・ギールグッド、デーム・ウェンディ・ヒラー、フレディ・ジョーンズ、ハンナ・ゴードンなど。2020年7月10日エレファント・マン 4K修復版公開(配給:アンプラグド)

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1981年5月9日
キャスト 監督デイヴィッド・リンチ
出演ジョン・ハート アンソニー・ホプキンス アン・バンクロフト ジョン・ギールグッド ウェンディ・ヒラー フレディ・ジョーンズ ハンナ・ゴードン マイケル・エルフィック
配給 東宝東和
制作国 イギリス アメリカ(1980)
上映時間 124分
公式サイト http://elephantman4k.com/

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ユーザーレビュー

総合評価:4.5点★★★★☆、4件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-11-30

この映画「エレファント・マン」は、実在した奇形の男の数奇な運命を描いた、人間愛ドラマの秀作だ。

19世紀末のイギリスで、"象男"と呼ばれ、見世物になっていたジョン・メリック。

外科医のトリーヴスは、彼を研究材料として、引き取り保護するが、この奇形の男が、実は豊かな知性と純粋な魂の持ち主であることを知り、自責の念とある種の友情が芽生えていくのだった。

舞台のヒット作を完全なオリジナル版として映像化した、デビッド・リンチ監督のオーソドックスな演出力が、実に見事で光っている。

この商業映画デビュー作は、オスカーの候補にもなり、静かなモノクロ画面に人間性の尊さ、善意の何たるかを問いかけた、感動作になっていると思う。

最終更新日:2023-12-10 16:00:01

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