父と暮せば 作品情報
ちちとくらせば
おとったん、ありがと…。父と娘の語らいをつづる、ひたむきな反戦映画
終戦から3年後の広島。図書館に勤める美津江(宮沢りえ)は、たった一人の家族だった父親を原爆で喪い、生き残った自分に負い目を感じながら暮らしていた。ある日、原爆の資料を探しに図書館を訪れた青年(浅野忠信)と出会い、互いに惹かれ合うが、美津江は「うちは幸せになってはいけんのじゃ」と自分の心を塞ぎ、青年の誘いを断ろうとする。そんな娘を見かねたのか、その晩から美津江の前に父・竹造(原田芳雄)の幽霊が現れ始める。“恋の応援団長”を名乗る竹造は、あの手この手で娘の心を開かせようとするが…。
「父と暮せば」の解説
黒木和雄監督の“戦争レクイエム三部作”の完結編となる本作は、井上ひさしの同名戯曲を映画化した反戦ドラマ。戦後の広島を舞台に、原爆で死んだ父と遺された娘の交流を描く。これまでも『TOMORROW/明日』『美しい夏キリシマ』といった作品で、市井の人々と戦争の関わりを描いてきた黒木監督。本作でもそのアプローチは健在で、政治的な視点や大上段なメッセージをいっさい用いず、終始一貫、宮沢りえと原田芳雄が演じる親子の対話を見つめ続ける。
2人の夫婦漫才のような掛け合いが微笑ましく、広島弁の響きも耳に心地よい。それだけにこの対話が、今は亡き父とその死に責任を感じる娘の、免罪を巡る交信なのだという事実が、深い哀しみとなって撥ね返ってくる。「おとったん」と呼びかける娘の笑顔、それが何より雄弁に命の重みを教えてくれる。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2004年7月31日 |
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キャスト |
監督:黒木和雄
原作:井上ひさし 出演:宮沢りえ 原田芳雄 浅野忠信 |
配給 | パル企画 |
制作国 | 日本(2004) |
上映時間 | 99分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、4件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-10-21
本・井上ひさしの舞台〈組曲虐殺〉を観劇していて黒木和雄監督のレクイエム・シリーズの三作目の本篇の事が頭を過った。場所や時代背景は違うものの戦争が人間にもたらすものの本質に触れて居るのでは無いか