2021 年カンヌ国際映画祭〈ある視点部門〉に正式出品された映画「La Traviata Mes frères et moi」の邦題が『母へ捧げる僕たちのアリア』に決定し、2022年6月よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開されることが決定した。
オペラの名曲と共に瑞々しく描かれる 4 兄弟の絆、母への尽きせぬ愛、夢を信じ一歩を踏み出そうとする少年の勇気を描いた感動作
南仏の海沿いの町の古ぼけた公営団地で、兄3人と暮らす 14 歳のヌール。重篤で昏睡状態の母を兄弟4人で自宅介護する生活は苦しく、まだ中学生ながら夏休みは兄の手足となって働き、命じられるままバイト三昧の日々を送っている。そんなヌールの欠かせない日課は、毎夕、母の部屋の前までスピーカーを引っ張っていき、母が大好きなオペラを聴かせてあげること。そんなある日、教育矯正の一環で校内清掃中だったヌールは、そこで歌の夏期レッスンをしていた講師サラに呼び止められ、歌うことに魅せられていくのだが――。
フランスの若き新鋭作家ヨアン・マンカ監督が自身の体験を交え描いた長編デビュー作
“縁のなかった芸術との出会い”の奇跡を、長編初監督となるヨアン・マンカが自身の自伝的な要素を盛り込み詩情溢れる映像で描き、2021 年のカンヌ国際映画祭<ある視点>で上映され話題となった本作。主人公ヌールには、子役として活動していたマエル・ルーアン=ベランドゥがオーディションで選ばれ、ソプラノ歌手ドミニク・モアティによる指導のもと、劇中で歌声を開花させゆく過程が本作にさらなるリアリティを与える。長男アベルを演じるのは、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』で殺し屋・プリモを演じたダリ・ベンサーラ。ヌールを世界に連れ出すサラを演じたジュディット・シュムラは、『女の一生』(16)などでセザール賞他にノミネートされた実力派女優。「人知れぬ涙」にはじまり、パヴァロッティの「誰も寝てはならぬ」、カラスの「カルメン」など、数々の名曲がドラマを各所で彩る中、厳しい現実をリアルに映しながらも、清々しさと希望を差し込ませた感動作となっている。