中東の紛争地の治安を守り続ける、女性のみの「ペシュメルガ女性部隊」彼女たちは紛争の中、食事を共にし、体を寄せ合って眠るーー『国境の夜想曲』本編映像解禁

中東の紛争地の治安を守り続ける、女性のみの「ペシュメルガ女性部隊」彼女たちは紛争の中、食事を共にし、体を寄せ合って眠るーー『国境の夜想曲』本編映像解禁
提供:シネマクエスト

『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』と『海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜』でベルリン、ヴェネチアを2作連続してドキュメンタリー映画で初めて制した名匠ジャンフランコ・ロージ監督最新作『国境の夜想曲』がBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて上映中となっている。

『国境の夜想曲』はジャンフランコ・ロージ監督が 3 年以上の歳月をかけて、イラク、シリア、レバノン、クルディスタンの国境地帯で撮影した。ここでは 2001 年の 9.11 アメリカ同時多発テロ、2010 年のアラブの春に端を発し、最近ではアフガニスタンからの米軍撤退と、今に至るまで侵略、圧政、テロリズムにより、数多くの人々が犠牲になっている──。

本作の舞台となる中東。その紛争地域に国家とは認められていないが実質的にクルド人が暮らすイラク北部クルド自治政府が存在する。そのクルド自治政府が統括する武装部隊が「ペシュメルガ」である。クルド語で「死と対峙(たいじ)する者」を意味し、強力な装備と練度の高さから、戦闘力は一国の軍隊に匹敵するとされる。兵力は約 22 万人とも言われ、クルド自治区の治安維持を担う。2003 年のイラク戦争では米国を支援し、クルド人を弾圧していたイラクのフセイン政権を崩壊に導いた。そのペシュメルガには女性部隊がある。家族や友人を ISIS によって失い二度と同じことを繰り返さないために戦う者や、家族がすでに武装部隊として活動しており自然な成り行きとして参加する者など様々だ。本作では女性たちが大きな武器を持ち警備にあたる様子や、武器の手入れをし、束の間の休息にひとつの暖房とやかんを囲み暖を取り、体を寄せ合って眠るなどの日常が記録されている。やかんにかざす手の中には左手の薬指に指輪をしている者もいる。

また、撮影時のオフショットとして、ジャンフランコ・ロージ監督を囲む女性兵士たちの写真も公開された。移動のバス内で撮られたもので、ぎこちない笑顔ながらも監督と兵士たちの間に和やかな関係が生まれたことを感じさせる貴重な一枚だ。

2014 年にイラク北部での支配地域を拡大し、「イスラム国」という国家の樹立を宣言した ISIS との戦闘が始まり、クルド自治区に攻め入ってきた ISIS と対峙する形がいまも続いている。2019 年、アメリカにより当時の IS 指導者アルバクダディが殺害され、弱体化したかに見えたが、すぐに次なる指導者を擁立。しかし、その指導者アブイブラヒム・ハシミ・クライシも今月 3 日に米軍の急襲により自爆死を遂げた。アメリカ政府はこの作戦により、「おぞましいテロリストはこの世を去った。我々は世界中のどこであろうとテロリストたちを追い詰める」と話すが、果たしてクルドの人々にとって、安住の日はやってくるのだろうか。

【本編映像】紛争地の治安を守り続ける「ペシュメルガ女性部隊」の日常『国境の夜想曲』
https://youtu.be/kyjP7qZdr20

最終更新日
2022-02-14 12:00:38
提供
シネマクエスト(引用元

広告を非表示にするには