元トーキング・ヘッズのフロントマンで、グラミー賞受賞アーティストのデイヴィッド・バーンと『ブラック・クランズマン』でオスカーを受賞した鬼才・スパイク・リー監督。現代アメリカを代表するふたりの才人の奇跡のコラボレーションがついに実現した映画『DAVID BYRNE’S AMERICAN UTOPIA』が邦題『アメリカン・ユートピア』(パルコ配給)として 5 月 7 日より TOHO シネマズシャンテ、シネクイント他全国公開が決定した。字幕監修はブロードキャスターのピーター・バラカンが務める。このたび日本版ポスター、予告編が解禁となった。
<アメリカン・ユートピアとは>
映画の原案となったのは 2018 年にデイヴィッド・バーンが発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」である。この作品のワールドツアー後、19 年の秋からブロードウェイのショーとして再構成された舞台が始まり、その斬新な内容は大評判となった。映像化の可能性を考えたデイヴィッド・バーンはスパイク・リーに声をかけ、映画化がスタート。バーンのライヴ映画としては、トーキング・ヘッズ時代に傑作『ストップ・メイキング・センス』(84 年、ジョナサン・デミ監督)が作られたが、バーンとスパイク・リーの幸福なコラボレーションにより、ドキュメンタリーでもなく記録映画でもない、新たなスタイルのライヴ映画が完成した。海外では早くも高い評価を得ていて、「ふたりの大物が組んだ見事なコラボ」(ヴァラエティ)、「このジャンルの最高傑作の1本」(インディワイアー)「圧倒的な傑作」(ローリング・ストーン誌)、と絶賛の声が寄せられ、ローリング・ストーン誌は 20 年度のベスト映画の第 3 位に選出している。
<魅惑のショー、その全容>
冒頭、プラスティックの脳を持ったデイヴィッド・バーンが登場し、人間の脳の進化について語り始める。「人間の脳は成長と共に衰えていく」。そんな衝撃な研究結果について話を始めるバーン。今回のショーを通じて、彼は現代のさまざまな問題について問いかける。コミュニケーションの大切さ、選挙の重要性、人種問題……。混迷の時代を生きる現代人の意識をゆさぶる物語が語られていく。今回の舞台でバーンは意識的に何もない空間を選び、マイクやドラムセットもなくし、新たな仲間である11人のミュージシャンやダンサーと舞台の上を縦横無尽に動きまわる。パントマイムや前衛パフォーマンスの要素も取り入れた斬新な振り付けを担当したのは、過去にもバーンの舞台も手がけたアニー・B・パーソン。プロダクション・コンサルタントもバーン一家のアレックス・ティムバースが担当。
<現代アメリカが熱狂!舞台から発信するメッセージ>
舞台に立った11人の仲間はさまざまな国籍を持っていて、クライマックスではブラック・ライブヴズ・マターを訴えるプロテスト・ソング、ジャネール・モネイの「Hell You Talmbout」を熱唱する。アルバム「アメリカン・ユートピア」からは5曲、トーキング・ヘッズ時代の代表曲から9曲が選ばれ、計21曲が演奏される。大ベテランのバーンがパワフルに歌いながら踊る。そんな彼と11人の新たな仲間が組むことで、まさにミュージシャンとしても更なる進化を遂げる最高のショーとなっている。監督のスパイク・リーはもともと最高の音楽センスを持つ監督として知られ、『ブラック・クランズマン』では盟友プリンスの曲を効果的に使っていたが、今回は舞台の頭上からのショットや斜めからのアングルなども効果的に使い、視覚的な刺激にあふれた映像を作り上げた。撮影監督は『サマー・オブ・サム』でもリーと組んでいたエレン・クラスが担当している。
<今、映画館でライヴを体験できる喜び!>
コロナ禍でライヴを生で体験できる機会は激減する中、全 21 曲、スペクタクルな 107 分のノンストップなステージが展開される本作。本国アメリカでは HBO にて配信のみの公開となったが、日本では映画館での上映が叶った。渋谷系ミニシアター文化の出発点ともなった 80 年代伝説の音楽映画『ストップ・メイキング・センス』から 36 年。かつて若者の代弁者だったデイヴィッド・バーンは若いミュージシャンからのリスペクトを受けながら、止まることなく進化を続ける。
今回解禁となるポスターでは、デイヴィッド・バーンを筆頭に 11 人のミュージシャンたち全員が登場。彼らはジェンダー、国籍あらゆる境界線を飛び越え、さながら理想郷<ユートピア>へと見るものを誘う使者のよう。未来感溢れる印象だ。また、予告編ではその至福のステージングの一部を解禁。ステージからは一切の配線をなくし、自由自在な構成に。ミュージシャンたちは揃いのグレーのスーツと裸足というスタイルでショーを展開する。コンテンポラリーダンスやヨガのような動きも取り入れ、縦横無尽に動き回るバーンは当時 67 歳という年齢も感じさせないほどにパワフルで、時に可愛らしく、時に崇高にも見える。テンションが上がっていくドラム隊の音。伸びやかな歌声。熱狂が観客にも伝播し増幅していく幸福と感動のステージが 70 秒の中に詰め込まれている。トーキング・ヘッズの名曲「Burning Down the House」や「Everybody’s Coming To My House」が予告編では取り入れられているが、トランプ政権下での分断されたアメリカ、そしてその後のコロナ禍という時代を生きる私たちの胸にはまた違うものとして届くだろう。
映画『アメリカン・ユートピア』予告 2021年5月7日(金)全国公開!
https://youtu.be/bvt0Rgk676M