河瀨組の“役積み”に、ついに不満爆発!?永作は井浦との買い物に「写真を撮られないかドキドキ…」映画『朝が来る』初日舞台挨拶

河瀨組の“役積み”に、ついに不満爆発!?永作は井浦との買い物に「写真を撮られないかドキドキ…」映画『朝が来る』初日舞台挨拶
提供:シネマクエスト

日時:10月23日(金)
場所:TOHOシネマズ 六本木 スクリーン7
登壇者:永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、河瀨直美監督

『あん』『光』の河瀨直美監督が、直木賞・本屋大賞受賞作家:辻村深月の感動ヒューマンミステリーを実力派キャストを揃えて映画化し、カンヌ国際映画祭公式作品【CANNES 2020】に正式に選出された『朝が来る』。実の子を持てなかった夫婦と、実の子を育てることができなかった14歳の少女を繋ぐ「特別養子縁組」によって、新たに芽生える家族の美しい絆と胸を揺さぶる葛藤を描く。実の子を持つことが叶わなかった夫婦、栗原佐都子役に永作博美、栗原清和役に井浦新。望まぬ妊娠をし、実の子を育てることができなかった少女・片倉ひかり役に蒔田彩珠。そして栗原夫婦と片倉ひかりを引き合わせる人物・浅見静恵役を浅田美代子が演じ、実力派俳優が、人間の真実に踏み込む演技で圧倒する。血のつながりか、魂のつながりか──現代の日本社会が抱える問題を深く掘り下げ、家族とは何かに迫り、それでも最後に希望の光を届ける感動のヒューマンドラマが誕生した。コロナ禍による公開延期を経て、ついに公開初日をむかえた『朝が来る』、監督・キャスト登壇による初日舞台挨拶が行われた。

最初に、主演の永作博美(以下、永作)らがステージに登壇し、公開初日をむかえられたこと、今ここに立てている事の喜びを語った。井浦新(以下、井浦)「世間では、“日の呼吸、水の呼吸”とにぎわう中で、ご来場いただきましてありがとうございます。本作をじっくりと味わっていただければと思います」と社会現象になっているアニメに触れながら挨拶し、会場の笑いを誘った。河瀨監督(以下、河瀨)は「この映画は出会うべくして出会ったスタッフと俳優で産み出され、そしてここでお客様と出会えて初めて息がするんだなと思っております」と、観客に観て頂けることの喜びを表現した

河瀨組の特徴の一つでもある、役積み(登場人物が実際に経験したこと、経験するであろうことを役者が実体験すること)が、メジャーになりつつあることに触れられると、河瀨は「流行語大賞じゃない?」とすかさず返答。それに対して、永作は苦労もあったと語り、「監督に『赤ん坊のものをすべて一から揃えてほしい』と言われ、おくるみも、肌着も、おむつも、ミルクも全部時間をかけて選んで、東京からもっていきましたね」と不満をぶつけるが、河瀨は「あたりまえでしょ?」と悪ぶれる様子は皆無。続けて、井浦も「(永作と)一緒にモールに買いに行きました。カメラは回っていないし、監督もいなかった」と振り返る。永作は「一般の方に写真を撮られないかドキドキした」と、河瀨組ならではのエピソードを語った。
特別養子縁組によって迎えられる男の子・朝斗を演じた子役は、さすがに役積みしてないですよね?とMCから聞かれた永作は「朝斗も例外ではなく、劇中で通う幼稚園で、皆と一緒に遊んでいました(笑)」と明かし、会場を驚かせた。

続けて蒔田は、「河瀨さんの母校で、役積みしました。自転車で学校に行って、5時間ぐらい授業受けて、卓球部で部活して、友達と一緒に帰るという日々を送りました」と回顧。これをやってくれと言われた時、正直どう思ったかを聞かれると、「ここまでするんだと思った。でも撮影が始まった段階で、ひかりになりきれていたのでよかった。それぐらいリアルに色んなことが体験できた」と語った。

説明会のシーンで、素人さんからの台本にない質問に答え続けるため、知識を入れ込んで撮影に挑んだ浅田美代子(以下、浅田)は、「受験勉強のようだった。間違えてはいけないし、特別養子縁組の知識を入れ込んで、まさにNPO法人その人になった」と振り返り、すかさず永作が「浅田さんのシーンはほとんど台本がなかった」と驚きの事実を明かした。続けて、浅田は「(自分が演じた)浅見って役は、お酒はちょっと飲むかなーと思って、飲んでたら監督が険しい顔していた」と暴露。対して、河瀨は「それは、罪の意識があったからじゃない?」とするどいツッコミを入れ、笑いを誘った。

そのような体験をして、役者としてどうだったかと聞かれると、井浦は「現場の中で突然生まれるものを大切にして下さる撮影環境は、僕にとってはすごい幸せでした。大筋と逸れなければ、今感じたことを言葉にできるというのは本当に幸せなことです」と感謝の意を表した。蒔田は「あんなに長い期間、役積みができたことは今後の作品でも活きてくると思う」と自信がついた様子。浅田は、「“その人”になるまで待っていてくれるというのは、大変ありがたいことです」と語り、『あん』(15)の時は樹木希林さんだけ撮影場所に住むことができなかったことを思い出し、「希林さんは『(役積みできなくて)ラッキーだったわ~』と言っていました」とモノマネしながら、振り返った。
“役積み”によって、想定していたものとは違うキャラクターとして出てくることはないのか?と聞かれた河瀨は、「ないですね」と即答し、「そこで産まれたものが本物だから」と揺るがないこだわりを見せた。

最後に、永作は「世の中には“朝”が来なくて苦しんでいる人も多くいるのではないかと思う事がある。でも、これを撮り終わって観た時に、間違いなくみんなに光が差し込んでいるというのを感じました。皆さまそれぞれに少しでも、光が差し込んでいるというのを感じ取っていただけると嬉しいです」と願いを込めて語った。すかさず監督から、「ここで一句!」と無茶ぶりが!永作はそれを振られた経緯を「朝斗をむかえるシーンを撮る時に、他のことを何も考えないように、広島に向かう道中ではずっと俳句のことだけを考えていたんです」と説明し、一呼吸して「秋雨も 祝福になり 会いたくて」と見事な俳句を披露した。

そんな無茶ぶりをした河瀨は最後に、「みなさんの中に1つの命が生まれる瞬間。こんなに『朝が来る』を待っていてくれた人がいるというのがわかって、本当に少し泣きそうです…。エンドクレジットの最後の最後まで、席を立たないでください。私の、そしてみんなの込めた想いがそこにあります」と本作に込めた想いを語り、舞台挨拶は幕を閉じた。

最終更新日
2020-10-26 08:00:22
提供
シネマクエスト(引用元

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