小学校の校庭に必ずと言っていいほどあった金次郎像。薪を背負って勉学に励んだあの少年が、その後、600以上の村の復興を手がけたことをご存知だろうか?200年前に金次郎が辿り着き、守り抜いた思想の数々は、今も変わらず、私たちの中に生き続ける。幼い頃、両親が早死にし、兄弟とも離れ離れになった二宮金次郎―—。青年になった金次郎は、小田原藩主に桜町領(現・栃木県真岡市)の復興を任される。金次郎は、「この土地から徳を掘り起こす」と、”仕法”と呼ぶ独自のやり方で村を復興させようとするが、金次郎が思いついた新しいやり方の数々は、一部の百姓達には理解されるが、保守的な百姓達の反発に遭う。そんな中、小田原藩から新たに派遣された侍・豊田正作は、百姓上がりの金次郎に反発を覚え、次々と邪魔をし始める。はたして、金次郎は、桜町領を復興に導けるのか?
監督は『地雷を踏んだらサヨウナラ』『長州ファイブ』の五十嵐匠。プロデューサーと脚本は、『武士の家計簿』の永井正夫と柏田道夫のコンビが再タッグを組んだ。また、音楽は、『半落ち』で日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞の寺嶋民哉、撮影は、『蝉しぐれ』で同優秀撮影賞受賞の釘宮慎治と、ベテラン映画人が集結。
主人公の金次郎を演じるのは、「水戸黄門」格さん役でお馴染みの合田雅吏(ごうだ・まさし)。金次郎を支える妻・なみにNHK連続テレビ小説「あぐり」の田中美里、敵役・豊田正作に舞台を中心に活躍している成田浬(かいり)、小田原藩主・大久保忠真(ただざね)役に榎木孝明、反発する百姓・五平役に、本作でシリアスな演技に驚くほどの新境地を見せる柳沢慎吾、成田山新勝寺伝説の貫主・照胤役に田中泯。さらに、金次郎の伯父・二宮万兵衛役に渡辺いっけい、服部十郎兵衛役に石丸謙二郎、斎藤平左衛門役に綿引勝彦など、ベテラン実力派俳優たちが脇を固めている。また、人気お笑いコンビ・カミナリの竹内まなぶ、石田たくみが、本作で時代劇デビューを飾っている。復興に命を賭けた二宮金次郎の、そのドラマチックな生き様が魂を揺さぶる、感動作の誕生だ。
本作が、明日6月1日(土)より東京都写真美術館ホールにて公開されることを記念して、紫綬褒章や映画『写楽』(1995、監督:篠田正浩)で日本アカデミー賞最優秀美術賞など多数の賞を受賞されている浅葉克己氏が、本作を鑑賞してデザインした、描き下ろしのプレミアムポスター(B全サイズ・ケース付き)を、限定200枚、1,200円(税込)で、東京都写真美術館の2Fミュージアムショップにて明日6月1日より販売されることが決定した。五十嵐匠監督より浅葉さんとのエピソードに関するコメント、浅葉克己氏より映画への応援コメントが届いた。
<五十嵐匠監督 コメント>
映画「二宮金次郎」をスタッフ他、関係者に初めてお披露目した時のことだった。エンドマークが流れ、試写室から出た時に私に近づいてきた方がいた。かつて映画「写楽」(篠田正浩監督作品)で美術を担当したデザイナーの浅葉克己さんだった。永井正夫プロデューサーの紹介で見にきてくださったのだ。私は浅葉さんになんとかポスターを依頼できないかと思っていた。浅葉さんは見終わって私にこう言った。「『地上の星―二宮金次郎伝』というタイトルは変えてもいいんじゃないか。形容詞なんかいらない。堂々と『二宮金次郎』にすべきだ」。私はうれしかった。浅葉さんは少し目に涙を浮かべていた。「コピーはこれがいい」。浅葉さんは、きっぱりと二度ほどこう言った。「ハンカチを忘れるな!」。
<浅葉克己氏 コメント>
君は、絶対、ハンカチを忘れるな!