日時:10月13日(土)
場所:新宿ピカデリー
登壇者:黑木華、多部未華子、鶴田真由、森下典子、大森立嗣監督
“お茶の”魅力に気付き、惹かれていった女性が体験するのは、静かなお茶室で繰り広げられる、驚くべき精神の大冒険。茶道を通してひとりの女性が成長する姿を描く感動作『日日是好日』が、 10月13日(土)、初日を迎え、舞台挨拶が行われた。
舞台挨拶は、黑木華が、公開と来場の方々への感謝を述べ、始まった。お茶の心、一期一会がテーマである本作。9月15日に亡くなり、本日、舞台挨拶に立てなかった樹木希林との出会いについてそれぞれにきいた。大森監督は、「京都の完成披露(7月31日)でお会いしたとき、随分、お痩せになってるなと。今日お会いできると思っていたのですごく残念です。一言でいうのは難しいけど、出会えてよかった。(希林さんとお仕事ができたことが)僕の財産になっていくと思います。希林さんが思っていらっしゃることはわからなかったのですが、それを感じたいと思いながら撮っていました」と振り返った。黑木は、「お茶室でのふたりきりのシーンがあり、なんてありがたい時間なんだろうと過ごしていたのを覚えています。言葉でなかなか言えないけれど、人間性として格好いいなと思うことが多かったですし、学ぶことがたくさんありました」。初日を迎え、「初日を迎えましたよ〜!」と笑顔で樹木希林へ語りかけ、「たぶん一緒にいると思います」と思いを馳せた。多部は「恐れ多く、怖いイメージ」を抱いていたというが、「撮影中にお話させていただいたり、スタッフさんへの言葉に必ず愛がある。ひとりひとりと向き合ってお話をされている。他愛ない話をしていましたが、『貴重な時間をありがとうございました』とお伝えしたいです」、鶴田も「樹木さんは、ご自分に嘘をつかない方。佇まいに筋が通っている。教えていただくことがたくさんありました」と想いを語った。
本作の注目点について、多部が「黑木さんと樹木さんの共演シーンが素晴らしくて、いろんなすごいなーを感じました。おふたりもすごいし、それを撮られた大森監督もすごい。空気感、世界観、本当にシンプルですが、伝わってくるものがバシバシあるんです」と絶賛、黑木がしきりに照れた。原作者の森下は、「スタッフにお茶ができる人がひとりもいなかったのに、よくこんな素晴らしい映画ができたなと」と感心し、さらに「約1ヶ月の撮影期間なのに、1年が、季節の移り変わりがちゃんと表現されている。映画ってすごいなーと思いました」と感動した様子で続けた。
本作での「世の中には、“すぐわかるもの”と“すぐわからないもの”の2種類がある」というテーマにかけ、黑木に、大人になってようやく気づいたこと、わかったことを質問すると、「休むことは大事だと思いました」と答えた。仕事がなくなるのではという不安の中でも、「3週間くらいお休みをいただいたとき、その後、新たに頑張れました。映画の中で典子さんがお茶をたてるように、落ち着いて、何も考えず、好きなことをすると、いろいろと吸収することができて、得るものがあることがわかりました。自分にとってそれが大切だと気づきました。」
最後に黑木が、「樹木さんとのインタビューで『本物を知ることが大事』とおっしゃっていました。本作では、そういった茶器や掛け軸を見ていただけます」とアピール。さらに、「人生の気づきに満ちた映画です。樹木さん演じる武田先生のお茶室を感じていただきたいと思います」。大森監督が「お茶を通じて人間を描く、そう思って撮りました。希林さんのように優しい目で見ていただけたら嬉しいです」と締め、舞台挨拶は終了した。