SF漫画の最高峰として語り継がれ、日本はもとより世界15の国と地域で翻訳された木城ゆきと原作による伝説の漫画「銃夢」が『タイタニック』『アバター』などで数々の歴史を塗り替えてきた巨匠ジェームズ・キャメロン製作・脚本で遂に実写化。キャメロンが原作に惚れ込み、長年に渡り映画化を切望した『アリタ:バトル・エンジェル』が、12月に公開となる。脚本・製作を務めたジェームズ・キャメロンと共に『タイタニック』『アバター』など数多くの大作をプロデュースしたジョン・ランドーが、メディアの方へは“世界初お披露目”となる映像を引っさげて緊急来日し、6月14日(木)フッテージ上映付きプレゼンテーションを実施した。
当日は、「木城先生が描いたキャラクターがジェームズと私の心を鷲掴みにした。『アリータ:バトル・エンジェル』は日本の作品が原作になっているので、日本のメディアの皆様に一番にお見せしたかったです」とアリータが産まれた日本で、世界に先駆けて自信作の一部をお披露目できる喜びを語った。「アバターで使ったものとおなじパフォーマンスキャプチャ技術を使用しました」と自信の程を語る映像については、アリータというサイボーグ少女の目覚め、舞台となるアイアンシティ、彼女を取り巻く周囲の人々、迫力のバトルシーンが3D で上映された。そんな映像が製作されるまでには25年の歳月が費やされたが、「(ギレルモ・)デル・トロは熱心に「銃夢」シリーズを読んでおり、この作品を教えてくれて、私たちはとっても気に入ってしまったんです」とアカデミー賞監督からの薦めがきかっけとなったことを明かす。
さらに「映画化の権利をいただき、最初はジェームズが、直接監督をやりたいと話していたのですが、先に『アバター』をやることになったんです。『アバター』を先に公開することで『アリータ:バトル・エンジェル』がより良いものになると思っていたからです」と明かす。そうしているうちに、『アバター』続編の監督にキャメロンが決定し、別の監督を探すことになったという。「ジェームズは、自身が手掛けた脚本をロドリゲスに見せ“脚本を書いて満足しているんだけど、ちょっと長すぎるんだよ。しっかりと短くまとめたなら、彼に監督を任せてもいい”と言いました。ロドリゲスは4カ月がかりで脚本に取り組み、良い長さにまとめたものをジェームズと私に見せてくれました。そこに鍵となるもの、大事だと思うものが全部盛り込まれていたんです。力強く、感情に寄り添うことができる主人公になっていました。そして、世界中の人が共感できる普遍的なテーマが盛り込まれていたので、ロバートと一緒にやろう!ということになりました」とロバート・ロドリゲスに監督を任せた経緯について語った。
そして、木城先生から「この度、『アリータ:バトル・エンジェル』の世界で初めてメディアに公開される最新映像を、作品が生まれた日本に最初に持ってきていただき、ありがとうございます」とメッセージが到着すると、「セットに木城先生をお迎えしたことがあるのですが、広大なアイアンシティのセットを見たときの先生の笑顔が忘れられません」と当時を懐かしんだ。その後、いち早く映像を観たメディアの方からの質疑に応えたランドーは「完成した作品をもう一度日本のみなさまにお見せするのを楽しみにしています」と期待を高めるコメントで締めくくった。
【ジョン・ランドー コメント及び Q&A】
Q:『タイタニック』『アバター』など映画史を塗り替える作品を世に送り出されていて、本作もその1つになれることを本日の映像を拝見して確信しましたが、日本発のコンテンツである本作が、世界で愛される要素はどのような点だと思われますか?
アリータという主人公のキャラクターです。キャメロンはこの漫画を知った当時、13歳の娘がいました。ティーンエイジャーがどういう苦しみを得て、自分を発見するかの過程を見ていたわけです。そして、木城先生は作品のなかで、キャラクターが自身を誇りに思う過程を描き、人間が人間であることとは何なのかという問いに答えようとしています。アリータはサイボーグですが、人間性があるんです。
Q:25年という長い年月をかけて映画されたとのことですが、ジェームズ・キャメロンは、どのようにして原作「銃夢」と出会い、どういった点に魅了されたのでしょうか?
実は、もう1人フィルムメーカーが関わっています。ギレルモ・デル・トロ氏です。彼は、熱心に「銃夢」シリーズを読んでおり、この作品を教えてくれて、私たちはとっても気に入ってしまったんです。
Q:アリータの目が大きいのは何故ですか?
目は心の窓です。窓を大きくすれば大きくするほどキャラクターの中に人を引き入れることができます。私たちが生きる今の時代、技術が漫画のキャラクターに本当に息を吹き込むことが可能になってきましたし、キャラクターに魅了されると、もう目のことは忘れてしまうと思います。
Q 本日見せてもらったフッテージの完成度は何%くらいなのでしょうか? また今後はどのような作業を行うことになるでしょうか?
今朝もホテルでやっていたのですが、毎日ビジュアルエフェクトを確認して1日6~9時間くらいディテールを見ています。アクションが上手く行っているか?など細かな作業をしています。今年の夏、もう一度スコアリングをします。完成した作品をもう一度日本のみなさまにお見せするのを楽しみにしています。
【木城先生からのメッセージ】
「銃夢」の最初の連載が終わる少し前の 1994 年から、海外のプロデューサーや監督から映画化したいというオファーがいくつかきて、そんなとき編集者の人と「キャメロンが映画化したいと言ってきたらどうする?」と冗談を言い合っていたものです。強いヒロイン、アクション、SF ビジュアル、などキャメロン監督と僕の作品には共通点が多いけれども、本当にそうなるとは、もちろんその時は夢にも思っていませんでした。そしてこの度、『アリータ:バトル・エンジェル』の世界で初めてメディアに公開される最新映像を、作品が生まれた日本に最初に持ってきていただき、ありがとうございます。僕自身、この映画の完成をとても楽しみにしています。