野上照代「来年、私はもういないぞ!」とブラックジョーク炸裂 三船史郎 スケール大の“世界のミフネ”家族サービスを語る『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』トークイベント

野上照代「来年、私はもういないぞ!」とブラックジョーク炸裂 三船史郎 スケール大の“世界のミフネ”家族サービスを語る『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』トークイベント
提供:シネマクエスト

日時:5月19日
場所:代官山蔦屋書店 1 号館 2 階イベントスペース
登壇者:野上照代、三船史郎

5 月 19 日(土)代官山蔦屋書店にて、『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』公開記念トークイベントが開催された。
盛大な拍手に迎えられて野上照代、三船史郎が登壇。
野上は「家が近ければ毎日通いたくなるような、素敵な場所ですね」と初めて訪れた、代官山蔦屋に驚きを見せた。続いて史郎は「本日はお越し頂きありがとうございます。このような場は慣れておりませんので何を言うかわかりませんが、よろしくお願いします」と緊張した様子で挨拶をした。

早速本作を見た感想を聞かれると史郎が「いい映画ができたな」としみじみと語ると、野上は「思っていたよりずっと面白かった。言っては悪いけれど、あまり期待していなかったので」と歯に衣着せぬ感想で会場を沸かした。

本作に出演されていることについて言及されると、野上は「生き残っているのは私くらいしかいないから」と笑いを誘い、続けて「私ももうすぐいなくなるかもしれない。今日は貴重なイベントです。来年はいないぞ!」と茶目っ気たっぷりに語り、会場にさらに大きな笑いを起こした。

父三船敏郎がすごい俳優であると、いつ認識したのかと聞かれると史郎は「初めて映画館で見た父の映画が『蜘蛛の巣城』。志村のおばちゃん(志村喬の妻)に連れられて渋谷東宝で超満員の中、立ち見で見た」と超満員の劇場を見て父の偉大さを感じた思い出を語った。

撮影により家にいる時間が少ない父三船について聞かれると史郎は「初めての海外出演作『価値ある男』の撮影が終わる一週間前ほどに、父がメキシコまで家族を呼び、ピラミッドに連れっていってもらったり、カジキ釣りをした。ニューヨークにも寄って、ヨーロッパにも渡った」と世界のミフネのスケールの大きな家族サービスを語った。

そして三船が海外でも人気を得た理由を聞かれると野上は「そんなことはわからない。外国人の気持ちなんて日本人の私にはわからない」ときっぱりと語り、会場を沸かした。史郎は「演技の迫力や威勢の良さが外国人受けしたのではないか」と自論を語った。

ミフネの魅力の一つである髭にまつわる話になると、史郎は「普段は髭を剃っていた。『赤ひげ』のときは、髭を生やして赤ひげに見せるために脱色していたが、薬品で肌がピリピリして鬱陶しがっていた。撮影が終わってすぐに髭を剃ったら、実は撮り足しがあったが、撮れなくなってしまった」と貴重なエピソードを語った。

撮影時には台本を持たないことで有名な三船のエピソードを聞かれると史郎は「家でも一体いつ台本を覚えているのか見たことがなかった」と語ると、「メキシコ映画『価値ある男』の際にスペイン語をカタカナに起こして家中の壁に貼っていたことは唯一記憶にある」と努力をあまり人前で見せない三船の姿を語った。それを受けて野上は「『価値ある男』のテレビ放映に際し、日本語吹き替えの依頼が三船さんに来た時、『苦労してスペイン語を覚えたのに、なぜ日本語をやらなくてはいけないのか』と烈火のごとく怒っていた」と驚きのエピソードを懐かし気に語った。

最後に野上は「せっかく黒澤さんの作品に付き、三船さんの近くにいて、もっとお話ができたのにという後悔をしてしまうほど、三船さんは魅力的な人でした」と三船への熱い想いを語り、史郎は「夏木陽介さんや土屋嘉男さん、加藤武さん、中島春雄さん、亡くなられた方もおりますが、とても貴重な方々に父をお褒め頂きありがたく思っています」と本作に出演者立ちへの感謝の意を述べた。そして 5 月 24 日に 91 歳の誕生日を迎える野上にサプライズで花束が贈呈され、大きな拍手に包まれたなかイベントは終了した。

最終更新日
2018-05-21 12:00:04
提供
シネマクエスト(引用元

広告を非表示にするには