東出昌大と濱口竜介監督がタッグを組み、芥川賞作家・柴崎友香による同名恋愛小説を映画化した『寝ても覚めても』。河瀬直美監督『あん』、黒沢清監督『岸辺の旅』、深田晃司監督『淵に立つ』などのプロデューサーとして知られる澤田正道が本作のコー・プロデューサーとして名を連ね、海外セールスを大手 MK2 が担当、本作が国際映画として製作されていることが明らかになった。
現在開催中のベルリン国際映画祭のマーケットでも情報解禁され、すでに『ハッピーアワー』でロカルノ国際映画祭をはじめ国際的に高い評価を得た濱口監督の商業デビュー作とあって、世界中の映画関係者から注目を浴びている。
本作は、ミステリアスな自由人・麦(読み:ばく)と、優しくて誠実なサラリーマン・亮平という、同じ顔をしたふたりの男と、その間で揺れ動く女性・朝子の8年間を描く恋愛映画。濱口監督が、原作が持つストーリーの荒唐無稽さと緻密な生活描写に惚れ込み自ら映画化を熱望、メガホンを取った。東出昌大は、同じ顔をしていながらも全くタイプの違う男・麦と亮平という初の一人二役に挑み、新星・唐田えりかがヒロイン・朝子を演じる。
瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知、仲本工事、田中美佐子といった豪華キャストが脇を固めている。フランスを拠点に活躍する映画プロデューサー澤田正道は、河瀬直美監督『2つ目の窓』(2014 年)、『あん』(2015年)、黒沢清監督『岸辺の旅』(2015年/ある視点部門監督賞受賞)、深田晃司監督『淵に立つ』(2016年/ある視点部門審査員受賞)、河瀬直美監督『光』(2017 年)と、手がけた作品が4年連続でカンヌ国際映画祭に正式出品されるなど、日本の才能を世界に広めてきた第一人者。その彼が、濱口監督の才能に惚れ込み、本作への参加を決めた。
そして、本作の海外セールスを担当するのは MK2。オリヴィエ・アサイヤス、ジャ・ジャンクー、グザヴィエ・ドラン、ヨルゴス・ランティモスなど鬼才たちの映画の共同制作、海外セールスを手がけ、また、チャップリン、トリュフォー、キアロスタミ、キェシロフスキ、デヴィット・リンチ、バスター・キートンなどの名作の数々をリストアし上映してきたフランスが誇る映画会社。新たな才能発掘には定評があり世界のバイヤーから絶大な信頼を寄せられている MK2 が、濱口監督の新作と聞いて本作に飛びついた。
澤田正道コメント
私はフランスにいて新しい才能との出会いには常に興奮を覚えます。濱口監督の『ハッピーアワー』5時間17分を思わず一気に見てしまった時の喜びは3つ星のレストランで3時間を過ごすより豊かでした。私は偶然にも本作の原作「寝ても覚めても」を読んでいて、この映画的語り方に惹かれていました。その偶然性も重なり作品が私を呼び寄せてくれた予感がします。世界に向けて日本の新しい世代の先端を走り続けてほしい作家です。
MK2 ジュリエット・シュラメック コメント
濱口竜介監督『寝ても覚めても』の脚本を読んで、私は興奮し、すぐに参加を決めました。MK2 は常に新たな才能との出会いを大切にしてきました。今回、近年稀に見る、日本の若き“将来の巨匠”の作品にコミットできることをとても嬉しく思います。