文豪・谷崎は『今の時代なら文春砲にも#MeToo にもひっかかる大変な人』TANIZAKI TRIBUTE『神と人との間』初日舞台挨拶

文豪・谷崎は『今の時代なら文春砲にも#MeToo にもひっかかる大変な人』TANIZAKI TRIBUTE『神と人との間』初日舞台挨拶
提供:シネマクエスト

日時:1 月 27 日(土)
場所:テアトル新宿
登壇者:渋川清彦、内田慈、山田キヌヲ、萬歳光恵、根矢涼香、内田英治監督

日本を代表する文豪・谷崎潤一郎の短編を原案として、年齢もキャリアも異なる3人の映画監督が現代劇として甦らせた「TANIZAKI TRIBUTE」。その第一弾となる内田英治監督『神と人との間』が 1 月 27 日、初日を迎え、キャスト・監督登壇の初日舞台挨拶が行われた。

本作は谷崎とその妻、そして親友で作家の佐藤春夫によるスキャンダル<細君譲渡事件>がモデルとなっている。昨年の東京国際映画祭でプレミア上映され、そのいびつで純愛な三角関係が物議を呼んだ。愛する女性・朝子を親友に譲る穂積を渋川清彦、朝子と結婚するものの嗜虐の限りを尽くす添田を戸次重幸、穂積と添田の間で揺れる朝子を内田慈が演じる。

穂積役の渋川は、そのクールなイメージとは真逆の、ファッションに無頓着な“ダサい”主人公を熱演。「(トレードマークの)カープの帽子だけ、「これで」と監督から渡されました。(監督の前作の)『獣道』でも使った帽子を(笑)。それと実は今回カツラなんですよ」と明かすと、内田慈は「わたし、出てるのに気づかなかった…」とビックリ顔。内田監督は、「普段変な役が多い人にはふつうの人の役を、渋川さんみたいなかっこいい人は汚したくなるんですよね。(パブリック)イメージとは逆のキャスティングが好きです。最近では配役のイメージ通りのことが多いので、僕個人もカメラの後ろで楽しみたいので」とその理由を語った。

内田慈は劇中、官能小説の朗読にも挑戦しているが「内田監督からのオファーはいつも直前なんですよね。『下衆の愛』でも一緒にやってるんですけど、その時は 5 日前、今回は 4 日前。だから、(官能小説の朗読の)練習なんてできなくて。(朗読シーンは監督から)現場で「もっとやって、もっとやって」と言われてました」。演じた朝子について、内田個人としては思うところがあったようで、「二人の男が譲るとか言ってるけど「そこにわたし不在じゃない?」と私個人としては思っていて。個人的にオラオラしている男が本当に嫌いなので!芯の部分ではすごいこじらしていてめんどくさいんですよ!だからオラオラしてる男は嫌いです!!」と熱く語っていた。

朝子の親友・美佳を演じた山田キヌヲは、初めての内田組になるが「勝手なイメージで、内田監督の現場はもっと罵声が飛んでるのかと思ってましたが、とても丁寧で穏やかな現場でした」と語ると、内田監督は「ぼくの現場はパワハラ禁止ですからね!罵声は飛びません」と胸を張った。穂積と添田どちらが好みかと問われると「わたしは…本当に昭和な女なので、譲られたら譲られてしまうかも…」と衝撃発言。そして「わたしの手を握ったら死ぬまで離さないでほしい!」と切実に訴えた。朝子の妹でアイドルとなり道を踏み外していく幹子を演じた萬歳は、劇中衣装で登場。また、下着姿で街に飛び出していくシーンについて「覚えてないんですよ。劇中の世界に染まってたのかな…。あのシーンは監督から『台風クラブ』のオマージュだと聞いていました」。

今回オリジナルキャラクターとなる編集者・聖美を演じた根矢は「シナリオ読みながら「まじかよ」と突っ込んだりして読み進めていたので、その感じを大事に演じました。現代パートでもあるので、登場人物たちを少し遠くからみている役どころ」と語った。

数ある作品の中からこの作品を選んだ理由について内田監督は「本人の話がベースになっているのが決め手でした。妻を親友に譲るという契約書を書くなんて、とんでもないことやらかして。でも人間の本質を常に描いていると思っています。谷崎さんは今の時代なら文春砲じゃすまないですからね。MeToo もされるし」と場内を沸かせた。

最終更新日
2018-01-29 12:00:16
提供
シネマクエスト(引用元

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