『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』ティーチイントークイベント

『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』ティーチイントークイベント
提供:シネマクエスト

日時:2月11日
場所:新宿武蔵野館
登壇者:ブルース・ナックバー

オスカー俳優マシュー・マコノヒーを主演に迎え、アメリカ南北戦争史の知られざる英雄の姿を描いた『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』の公開を記念し2月11日(祝・土)、新宿武蔵野館にて、本作の製作総指揮を務めたブルース・ナックバーによる、トークセッションが開催された。

ナックバー氏は映画『モンスターズ・インク』、エミー賞・ゴールデングローブ賞授賞のTVドラマ「Dr. House」など、24年にわたりハリウッドで映画やTVのプロデュースを手掛けてきたが、7年前から日本に在住している。「アメリカと日本の懸け橋になれたらと思っています」と語る。

本作の主人公ニュートン・ナイトは、南北戦争中、黒人と白人が手を結ぶなどありえない南部において、貧しい白人の農民たちと逃亡した黒人奴隷500人で結成された自由軍を率いて、100万人の南軍に立ち向かった男。しかしながら、アメリカでも広く知られた人物でもなく「学校でも習わないし、南部の人たちでさえも知らない。私自身、南北戦争のことは多少知っていても、彼のことは知りませんでした」と明かす。

そんな彼が、なぜ本作を手掛けることになったのか? 「共同プロデュースを務めたT.G.ヘリントンの祖先が、ニュートンと一緒に戦った人物で、彼のことを知っていたんです。そこで興味を持ち、脚本の開発を始めました。その頃、『シービスケット』でオスカー候補の監督でもあるゲイリー・ロスが同じようにニュートンについて興味を持っていると知り、『2本の別々の映画を作るのではなく、一緒に組んで映画を作ろう』という話になったんです」と経緯を説明した。

ニュートンを演じたのは名優マシュー・マコノヒー。「彼なくしてこの映画は成立しなかった」と言うが、撮影が始まる少し前にマシューは『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞。「この題材を映画にするというのは、(マーケット的にも)簡単なことではないけど、その上でマシューのオスカー受賞は製作を後押しするひとつの大きな理由になったと思います」と語る。

現場でのマシューについては「いつもものすごく集中していて、苛烈さすら感じました」と振り返る。「俳優のスケジュールを記した香盤表で、普通は俳優の名前を記すのが慣例だけど、マシューだけは役名の“ニュートン”となってたんだ。カットが掛かるとすぐ監督のもとに駆け寄り、意見を交わしたり、話し合ったりしていたよ」とその入り込み具合の凄まじさを明かした。

改めて、本作を作り意味について「彼はいわば“スーパーマイノリティ”」と語り「この映画が教えてくれることは、どんな状況であれ、間違っていると感じることに対して立ち上がり、戦うことができるということ。そして、愛の力が人が正しいことをするためのモチベーションになるということ。いまのアメリカの政治状況やアジアの“J”で始まる国にとっても、学ぶべきことがあると思います」と訴える。

トランプ政権の誕生の影響がエンターテイメントの世界にも波及していることに触れ「いまのアメリカにも希望と言えるものはあります。トランプのような大きな人物が存在すること――その存在の大きさゆえに、戦う気持ち、声を上げようという気持ちが生まれます。実際、多くのアーティストが既に声を上げ始めています。みなさんも、政治について、法律について、憲法について…違和感があるなら声を上げ、言葉にしてほしいと思います。クリエイターであれば、人の心に響くものづくりをすることも素晴らしい手段だと思います。日本の『ゴジラ』はまさにそうやって生まれた存在です。言葉にすること、ものを作ることが大事だと思います」と熱く鋭い言葉で語り、会場は温かい拍手に包まれた。

『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』は公開中。

最終更新日
2017-02-14 11:00:28
提供
シネマクエスト(引用元

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