映画『ダーティー・コップ』の主演、ニコラス・ケイジのオフィシャルインタビューが到着した。
今作では、徐々に犯罪への熱を帯びて怪物化していく汚職警官を怪演したニコラスが、作品への思い、撮影の裏側、そしてニコラスの“ヒーロー”ジェリー・ルイスとの共演についてを語る。
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ブリュワー兄弟監督は、今回が初めての長編監督作品となりますが監督とお仕事された印象はいかがでしたか?
2人に初めて会った当時は、『ラスト・リベンジ』でポール・シュレイダーと組んだり、『バッド・ルーテナント』でヴェルナー・ヘルツォークと組んだりするなど大御所との仕事が続いていたので、そろそろ若い駆け出しの監督と組んでみたいと思っていたところだったんだ。ビジョンを持った情熱的な若手監督なら私を違う風に料理してくれたり、再発見してくれたりするのではないかと期待していたので。
そもそもこの作品は脚本がよくできていて、キャラクター描写もしっかりしているし、台詞も良くて、光るものを感じたよ。だから読んですぐに出演したいと思ったんだ。そこでアレックスとベンとランチをして、実際に会ってみると映画のことをよくわかっているし、情熱的だったし、方向性がとても明確だったので感心したよ。
憧れのジェリー・ルイスとの共演はいかがでしたか? ジェリー・ルイスへはご自身から出演を依頼したと聞いています。共演もすごく緊張したと語っていましたが、 実際にはいかがでしたか。
実は私もジェリーもラスベガス在住で近所なんだ。ずっと前から食事をしたいと思っていたのだけど、それが何度か叶った。ただその前にも会ったことがあって、昔、ジェリーがサミー・デイヴィス・Jrと一緒にラスベガスでショーをやっていたことがあって、親切にもチケットをくれたんだ。それを兄と観に行った。素晴らしいショーで、そのあとにジェリーが自分の泊まっているホテルへ呼んでくれた。会った時に僕は「あなたは僕のヒーローです。ヒーローと呼べるのはあなたとマーロン・ブランドくらいです」と言った。そう聞いたジェリーは、いかにもジェリーらしく少し間をおいて、「まあ、ブランドも悪くないけど」と返してきた(笑)。ジェリーはなんと日本の浴衣と靴下という出で立ちで、あの時の事は忘れられないよ。
その後に僕もラスベガスへ引っ越したのだけど、先ほど言ったみたいに数回食事を一緒にできた。そんないきさつもあって、今回の企画が舞い込んできたときに、「この役で出演してくださいませんか?」とジェリーに直接聞いてみたんだ。面と向かって聞くのは相手を追い込むことになりかねないので、めったにしないことなのだけど、どうしても彼と共演している所を映画という形で永遠にしたかった。ジェリーは快諾してくれて「やったー」と思ったよ。映画ではいい芝居をしてくれているので、出演シーンがもう少しあればよかったのに、と思う。
ジェリーはコメディだけでなくドラマでも素晴らしい腕を見せてくれる。スコセッシの『キング・オブ・コメディ』を見てもわかる。自分にとっては憧れのヒーローだし、自分が俳優を目指したのもジェリーに憧れてのことだったから共演は緊張したよ。でもまた共演してみたいと思う。
今回はだんだん悪へと変貌していく様がミステリアスですが、普段から演技を行う際に特に気をつけていることはありますか?
まず、台詞の覚え込みを2カ月前から始めることだね。台詞を体に叩き込んでおけば、現場で余計なことを考えずに済むから。僕は台詞に縛り付けられるのはいやで、むしろ台詞に解放されたいと思ってる。台詞が体に入っていれば、必要に応じてアドリブを入れたり、脚本から逸れたりすることもできる。撮影中はシーン全体に意識を集中させなければならない。台詞のコトバに気を取られているようでは、そのコトバの根底にある思いや思考から意識が逸れてしまう。
集中力を維持するのは大変でしょうね。熟練の経験が必要なのでは?
そうだね。現場では失礼のないように気を付けるようにしているけれど、どうしても気が散るものなんだ。だから「今は集中したい」という空気感を醸し出すことが大事。失礼な言い方をする必要はないけれど、伝えなきゃ分からない人もいるからね。僕はそこまで器用じゃないから、やたら明るく振る舞って場を盛り上げ、すぐさま気持ちを切り替えて芝居に入るということができない。台詞の少ない日なら余裕はあるけれどね。
日本のファンへメッセージをお願いします。
長年サポートしてくれて本当にありがとう。日本のみなさんが大好きだし、また日本に行きたいと思っているよ。日本は美しい国だと思うし、多くの名作を生み出している国だ。いつか日本で映画を撮りたいよ。