映画『パリ3区の遺産相続人』に学ぶ、フランス特有の不動産売買システム“ヴィアジェ”とは?

映画『パリ3区の遺産相続人』に学ぶ、フランス特有の不動産売買システム“ヴィアジェ”とは?
提供:シネマクエスト

ケヴィン・クライン×マギー・スミスの豪華アカデミー賞俳優の共演で贈る映画『パリ3区の遺産相続人』が11月14日から公開される。

父が残した豪華なアパルトマンを相続するため、パリを訪れたケヴィン・クライン演じるニューヨーカーのマティアスが、フランスの不動産売買システムで「ヴィアジェ」に苦しめられながら自分自身を見直していく様子をユーモラスに描いた今作。

日本では聞き慣れないこの「ヴィアジェ」は、フランスでは200年前から存在する伝統の不動産システムで、70才以上の身寄りのない老人に多く利用される不動産の売却方法。売主は所有する不動産を他人に売っても、死ぬまで住み続けることができ、さらに買主から毎月一定の金額をローンの代わりに支払ってもらえるという、売主に優しいシステム。買主にとっては理不尽な制度に思えるが、その代わりに通常よりも格段に不動産を安く買うことができるというメリットがあり、マティアスの父親もこのシステムで高級アパルトマンを買ったのだ。

しかし、買主にとってこのヴィアジェは一種の賭けでもあり、売主が長生きした場合には、その間ずっとローンを支払い、せっかく買った不動産も容易に手に入らないケースもある。まさに本作の主人公・マティアスは父親の遺産を相続した結果、この状況になってしまったのだ。実際フランスでは、売り主が90歳の時にヴィアジェを契約後、長寿記録でギネス記録に認定された122歳まで生き続け、買主が先に亡くなったという嘘のような本当の話もある。

マティアスのようにヴィアジェに苦しめられる人だけではなく、“賭け”に勝ってヴィアジェの恩恵を受ける人や幸せに暮らしているパリの人々も描かれている今作を観たら、あなたもパリに住んでみようと思うかも?

最終更新日
2015-11-09 16:50:56
提供
シネマクエスト(引用元

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