世界三大ファンタスティック映画祭のうち、第35回ポルト国際映画祭でグランプリ、第33回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で審査員&観客賞を受賞するなど各国で話題となったジャポネスク・ファンタジー『リザとキツネと恋する死者たち』（原題:Liza, The Fox-Fairy）が、12月19日より日本で公開されることが決定した。舞台は1970年代のブダペスト。日本大使未亡人の看護人として住み込みで働くリザの心のよりどころは、日本の恋愛小説と、リザにしか見えないユーレイの日本人歌手、トミー谷。彼の軽妙な歌声が孤独な毎日を忘れさせてくれていたが、30歳の誕生日、恋愛小説にあるような甘い恋に出会うべく、リザは意を決し、未亡人に2時間だけ外出許可をもらう。だが、その間に未亡人が何者かに殺害されてしまう。悲しみにくれるリザの周辺で、次々と起こる奇怪な殺人事件。彼女が恋した人は“死者”となり、そこにはキツネの影が……。そんな中、下宿人を装って刑事・ゾルタンがリザと同居を始め、捜査するが、リザに殺人の気配は微塵もない。いったい誰が真犯人なのか……？監督は、ハンガリーで最も売れっ子のCMディレクターであり、今作が長編デビューであるウッイ・メーサーロシュ・カーロイ。来日時に知ったという、那須に伝わる九尾の狐伝説をモチーフに、恋した相手が次々と殺されるという不思議な事件に巻き込まれた、ちょっと奥手なリザの恋物語を独特な世界観で描き、ハンガリーで大ヒットを記録した。また『リザとキツネと恋する死者たち』を彩るのが、劇中でトミー谷が軽快に歌い踊る、ヘンテコな昭和歌謡。これは元々日本の音楽が大好きで、歌謡曲から「ルパン三世」のリミックスまで常にスマートフォンで持ち歩くほどの監督が、現地の作曲家と全編オリジナル曲を作り上げた。今作は今年の大阪アジアン映画祭やSKIPシティ国際Dシネマ映画祭でも『牝狐リザ』というタイトルで正式上映され、観客から高い評価を得ていた。
