恋愛をしたことがある人ならきっと誰もが身につまされる、そしていつまでも心に残ること必至の、痛くて情けなくてリアルで、すべての瞬間が愛おしいラブストーリー『東京の日』。10月31日に初日を迎え、渋谷ユーロスペースにて舞台挨拶を行った。
■池田千尋監督:この作品は私にとって7年ぶりの長編映画。オーストラ・マコンドーの演出家・倉本朋幸さんから、演劇をやってみませんか、と声をかけて頂いて、それがラブストーリーがテーマだったんです。そこで、浅野千鶴さんにカフェの店長として主役をやって頂いたのが「東京の空」。小澤さん、佐々木さんはカフェ店員の役として出演頂きました。演劇の評判が良かったので第2弾を作ることになり、今度は小澤さん演じる中村がどんな恋愛をしているんだろう？という事で出来たのが「東京の歌」。そうすると最後は佐々木さん演じる本田くんの話になるのですが、今度は演劇でなく映画でやってみようと思って作ったのが『東京の日』です。
本田くんのキャラクターについては、佐々木くん自身に話を聞いたり、周りの男性に話を聞いたりしました。「実際のところどうなの？」と。聞いてもよくわからなかったのですが（笑）、分からないまま描くというのもありだなと思いました。
■佐々木大介:今回主演を演じる事になって、単純に嬉しかったです。本田くんの役は舞台で2度演じてきて慣れていたので、プレッシャーは特に感じていなくて、場所が舞台の上ではなくなったという感覚。感無量でした。優柔不断な本田くんのキャラクターと僕自身がよく混同されがちですが（笑）、実際は全然違います！（笑）
役柄上、女性陣からキツイ言葉をたくさん食らっていたので、その分男の人と一緒のシーンでは癒やされていました。
■浅野千鶴:佐々木さん小澤さんとは、舞台でずっと一緒にやってきた3人で気心が知れているので、現場ではふざけてた記憶しかないですね（笑）。今回は演劇でなく、映画という池田監督の本拠地で、監督の姿を見たのですが、演劇の現場と変わらずとても愛情深く、役者の気持ちを優先にしてくれてありがたかったです。
■小澤雄志:僕の役は、今回は比較的軽い立場だったので、現場でも背負うものがなくのびのびさせて頂きました。その分、本田くんがいつもより辛そうだったので、現場で本田くんを支えていました（笑）
■田中佐季:私の演じたゆかは女性的でプライドが高くて、本田くんのセリフ一言一言に傷ついちゃう女の子なんですね。演じている中で、影響を受けてしまって辛い時もあったのですが、池田監督が現場で気遣ってくれたりと支えてくれました。
■佐藤岳人:本田くんとは対照的に家庭や仕事をきちんと持つ役、自分自身はまだ結婚もしていないので、役者冥利につきました。
■池田千尋監督: （ヒロインの趣里さんと香川京子さん、渡辺真紀子さんの共演シーンについて）3人とも、それぞれ、別の作品に出て頂いたことがあり、趣里さんとは「いつか映画を一緒にやろう」と約束していたんです。その中で『東京の日』が生まれて、自分の中で趣里ちゃんがピタッとくっついたことによって走り出した、という感はすごくありました。その中で、若い二人を役柄の上で見守ってくれる役として香川京子さん、渡辺真起子さんという、もう一度お仕事をご一緒したいと思っていたお二人にオファーをしたところ、出演頂けることになりすごく有難かったです。二人が出ることがわたしの中でイメージにあって、脚本を書かせて頂きました。3人が顔を合わせるスナックの場面は幸せな気持ちになるシーンになっていると思います、それは私自身が撮っている最中、ものすごく幸せだったので、それが映っていると思ってます。
