『揺さぶられっ子症候群』、多くの冤罪を生んだ“虐待”事件--贖罪と覚悟の物語「揺さぶられる正義」予告編解禁

『揺さぶられっ子症候群』、多くの冤罪を生んだ“虐待”事件--贖罪と覚悟の物語「揺さぶられる正義」予告編解禁
提供:キネマ旬報

赤ちゃんを揺さぶって起きるとされた『揺さぶられっ子症候群』の虐待・冤罪事件を追ったテレビ番組を元に、新たな取材と視点で描いたドキュメンタリー映画「揺さぶられる正義」が9月20日(土)よりポレポレ東中野、第七藝術劇場ほか全国順次公開。予告編・メインビジュアル・コメントが到着した。

本作の監督・上田大輔は、無実の人を救う弁護士を志すも、有罪率99.8%の刑事司法の現実に絶望し、企業内弁護士として関西テレビに入社。しかし、2016年、一度は背を向けた刑事司法の問題に向き合おうと記者になる。

そして1年目から取材を始めたのが、『揺さぶられっ子症候群(通称SBS)』。2010年代、赤ちゃんを揺さぶり虐待したと疑われ、親などが逮捕・起訴される事件が相次ぎ、マスコミも報じていた。

SBSは子ども虐待対応のための厚労省のマニュアルや診断ガイドにも掲載され、幼き命を守るため医師たちは診断にあたるが、一方で、刑事弁護人と法学研究者たちによる『SBS検証プロジェクト』が立ち上がった。チームは無実を訴える被告と家族たちに寄り添い、事故や病気の可能性を徹底的に調べていった。『虐待をなくす正義』と『冤罪をなくす正義』が激しく衝突し合い、やがて無罪判決が続出する前代未聞の事態が巻き起こっていく。

実名、顔を晒され、センセーショナルに報じられる刑事事件。逮捕報道に比べ、その後の裁判の扱いは小さい。無罪となっても一度貼られた“犯人”のレッテルはネット空間から消え去ることはなく、長期勾留によって奪われた時間も戻ってはこない。。SBS事件の加害者とされた人や家族との対話を重ねた上田は、報じる側の暴力性を自覚しジレンマに苛まれながら、かれらの埋もれていた声を届け、司法とメディアのあり方を問う報道に挑む。そして、記者として何を信じるべきか、上田を最も揺さぶることになる人物と対峙することになる--。

〈コメント〉
記者に転身した1年目に『揺さぶられっ子症候群(SBS)』事件の取材を始め、虐待をなくす正義と冤罪をなくす正義の衝突を8年にわたり追い続けてきました。『“犯人”と疑われている人をどこまで信用していいのか?』『“冤罪”を前提にした発言は、記者としての一線を越えていないか?』私の中で記者の正義と弁護士の正義がぶつかることもありました。この映画は、記者として、弁護士として、そして一人の弱い人間として悩み続けた私の8年間の記録です。
--上田大輔(監督)
想定を超えてしまった。8年間の取材をまとめ、冤罪で家族が引き裂かれることの理不尽さと、再び結ばれた家族の愛を描くのだと思っていた。有罪率99.8%の刑事裁判で異例尽くしの無罪の山を総括する必要もあった。しかし振り返るだけでは気が済まなかったのか…上田は無謀にも飛び込んだ。懲役12年の独房から無実を叫ぶ最難関事件の只中へ。どこに向かうつもりなのか?迷宮を掻き分け辿り着いた先は、出口ではなく、入口だった。
--宮田輝美(プロデューサー)

「揺さぶられる正義」
監督:上田大輔
プロデューサー:宮田輝美
撮影:平田周次 編集:室山健司 音声:朴木佑果、赤木早織 音響効果:萩原隆之 整音:中嶋泰成 製作:関西テレビ放送
配給:東風
2025年/日本/129分/DCP/ドキュメンタリー
©2025カンテレ

最終更新日
2025-06-20 15:28:56
提供
キネマ旬報(引用元

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