日本映画界を代表する脚本家・荒井晴彦が監督を務めた、綾野 剛主演最新作の映画『星と月は天の穴』が、12 月 19日(金)よりテアトル新宿他にて全国ロードショー。
今回一挙解禁となるのは、“荒井組”の撮影風景をとらえたメイキング写真 6 点。
吉行淳之介の原作小説は 1966 年に上梓されている。当時 10 代だった荒井監督は矢添の心情と“男の性(さが)”にシンパシーを抱き、映画の仕事を始めて以来「いつか映画化したい」と思い続けてきたという。本作のプロデューサーの 1 人、清水真由美氏は「監督は『昭和 40 年代の小説だから古いかな』とおっしゃったんですけど、主人公の男は愛を拗らせ、逆にヒロインはそんな男にヅケヅケと踏み込んでいく。むしろすごく今っぽいと思いました」と原作の印象を語っている。
荒井監督は当初、時代設定を現代に移して書いてみたそうだが、原作当時の価値観やシチュエーション、セリフも「今」とそぐわず、物語そのものが成立しなくなると判断。時代を、(原作が書かれた)1966 年に戻そうとしたが、『星と月は天の穴』というタイトルにオチを付けたかったこともあり、アポロ 11号が月面着陸した 1969 年に設定、他は原作に忠実に描かれている。
本作は、その 1969 年という時代の空気や質感をスクリーンに転写したいという監督の意図から全編モノクロで撮影。濃淡と陰影によって組成された画面は、単にノスタルジックなだけでなく、活字から文脈を読み取るごとく余白の美も映し出している。時折現れるパートカラーの赤は、吉行淳之介原作の映画『砂の上の植物群』へのオマージュ的な意図も含まれているのだという。
矢添の愛車 BMW2002 シリーズは吉行が実際に乗っていた車種である。車のみならず信号機なども昭和年代のものが稼働している地域まで素材を撮りに行くなど、ディテールへのこだわりは徹底している。綾野が着用している衣装も、吉行が当時着用していたジャケットに近い生地で仕立て、当時のデザインを再現。部屋のレイアウトも 69 年ごろ吉行が暮らしていた住居の間取りを参考に家具を配置するなど時代性が意識されている。
しかし一番難航したのは、矢添が住んでいる部屋のロケーションだったという。矢添の部屋の書斎の窓からブランコが設置された小さな公園が見える。ところがこの眺めを抱いた建物がなかなか見つからない。昭和の雰囲気があり、座ったまま窓から公園が見える部屋を探しても、公園には現代的な遊具が置かれているところが多く、荒井監督はマンションと公園をそれぞれ撮り分けることも考えたという。しかし助監督ら荒井組のスタッフが執念で遂に理想の部屋を発見、台本に忠実なシチュエーションを実現させた。
そんな情熱に溢れた撮影現場。矢添を演じた主演の綾野剛は『花腐し』につづき 2 度目とあって、荒井監督との信頼関係も強固に。また、オーディションで“発見”された紀子役の咲耶も笑顔が弾けており、“荒井組”のチームワークの良さ、映画への真剣なこだわりが伝わってくる写真の数々となっている。
アポロ 11 号による人類月面初着陸のほか、東大・安田講堂の攻防戦で学生運動がピークを迎え、「ウッドストック・フェスティバル」といった国内外で大きなトピックが続いた 1969 年という激動期を背景に映し出されるのは、一人の男の私的な物語。この〝いつの時代も愛をこじらせる〟男の本質を描いた滋味深き日本映画に温故知新を感じることだろう。クラシカルな世界に新しさも垣間見える、荒井晴彦の脚本から導き出された俳優 綾野 剛の真骨頂、映画界に一石を投じる<R18+>の異色作『星と月は天の穴』は 12 月 19 日(金)より全国ロードショー。
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『星と月は天の穴』12 月 19 日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
配給 ハピネットファントム・スタジオ
© 2025「星と月は天の穴」製作委員会







