特撮番組の脚本執筆や UMA(未確認⽣物)研究家としても活躍している中沢健の作家デビュー作で、⼤槻ケンヂ、切通理作、枡野浩⼀など多くのサブカル関係者ほか、児童⽂化作家の那須正幹や直⽊賞重受賞作家の朱川湊⼈からも絶賛され、2016 年にはテレビドラマ化。さらに、2025 年 8 ⽉から⼩学館のオリジナルコミックアプリ「マンガワン」でもこやま仁によるコミカライズの連載がスタートした異⾊の恋愛⼩説『初恋芸⼈』が映画初主演となる原嘉孝を迎えて映画化決定︕12 ⽉ 19 ⽇(⾦)から池袋HUMAXシネマズ、新宿バルト9ほか全国ロードショー。
映画『初恋芸⼈』(12⽉19⽇より公開)先⾏プレミア試写会舞台挨拶が11⽉29⽇、東京・新宿バルト9で⾏われ、主演の原嘉孝、共演の沢⼝愛華、佐藤アツヒロ、メガホンをとった夏⽬⼤⼀朗監督が登壇した。
サブカル関係者をはじめ、児童⽂化作家たちからも絶賛を受けた特撮番組の脚本執筆や UMA 研究家としても知られる 中沢健⽒の作家デビュー作『初恋芸⼈』を映画初主演となる原を迎えて映画化した本作。売れないピン芸⼈で彼⼥いない歴=年齢の佐藤賢治(原)は、⾃⾝のことを「⾯⽩い」と⾔ってくれる市川理沙(沢⼝)に初めての恋のときめきに満ちていた。しかし、不器⽤な佐藤は想いを伝えられないまま、市川から距離を置かれてしまう。やがて明かされる市川の秘密――。これは、何かになりたかった⼈たちに捧げる、「何物でもないもの」の物語。
売れないピン芸⼈役を演じた感想や、演じる上で気をつけたことを聞かれた原は「芸⼈さんの役を演じるのは初めてだったんですが、撮影に⼊る前に、お笑い芸⼈さんの無料ライブをやっていた街があって、そこにプライベートで 3〜4回通いました」と打ち明け、「売れない芸⼈なので、どこが原因で売れないのかとか、勝⼿ながらメモ⽤紙⽚⼿に観察させていただきまして、間が悪いのか、セリフのトーンが悪いのかとか、いろんなことをヒントにしながらこの役を演じました」と告⽩。続けて、原は「僕⾃⾝、コメディとかを舞台でやったりもするので、僕の感覚でセリフを読んだらどうしても⾯⽩くなってしまうんです。なので、⾯⽩くない感じでやるにはどうしたらいいかということを、すごく悩みながら作りましたね」とコメントして会場の笑いを誘った。
お笑いファンで佐藤と距離を縮めていく市川を演じた沢⼝は「ありがたいことに作品の主軸や流れを担っているような役どころだったので、私から⾔えることは少ないんですけど…」とネタバレを警戒し、役を演じた感想については「今までは外⾒に特徴があったり、例えばパパ活をやっている⼥の⼦の役とか(笑)、そういった前置詞がついている役が多かったので、本当にピュアなヒロイン役というのは初めてでしたし、⾃分の中で恥ずかしいなとも思ってはいたんですが、台本だったりスタッフの皆さんとか、出演者の皆さんに⽀えられてできたので、すごく楽しい役になりました」と声を弾ませた。
売れっ⼦芸⼈の兼⼦三郎役を演じた佐藤は「芸⼈の役で⼤御所のポジションなんですけど、⾃分の中からは⼤御所感が出ないので…」と⾃虐的なコメントをし、原はすかさず「何をおっしゃいますか」とフォロー。続けて、佐藤は「普段は舞台をやっているので声が⼤きくなっちゃうんですけど、今回の芝居は監督から『抑えめに、抑えめに』と⾔われたので、⼤御所感を出すために細々としゃべっています」と⼯夫を明かした。
また、映画初主演を果たした原は、主演として撮影に参加した感想を求められると「主演ではあるんですけど、いい意味で気負いせずというか、“やることをやるだけ”という精神で臨みました。誰よりもこの作品に向き合って、佐藤賢治に向き合って、それが結果として作品を引っ張るということにつながると信じているので、その姿勢で臨みました」と吐露し、「真ん中に⽴たせてもらうというか、真ん中を張るという覚悟みたいなものを経験して、また 1 つ成⻑できたかなと思います」と胸を張った。加えて、MC が「スクリーンの中に原さんがいないんです。佐藤賢治しかいないんです」と感想を述べると、原は「最⾼の褒め⾔葉ですね。気持ちいいですね」と笑顔を⾒せた。
そんな原と多くのシーンをともにした沢⼝は、現場での原の印象を聞かれると「すごく真摯に向き合っていらっしゃる⽅で、先ほどのお話にもありましたが、劇場に通ったというのもそうですし、今回、出演されているハニトラ梅⽊さんと、漫才の部分もめちゃくちゃ練習していらっしゃって、映像ってごまかせるというか、⼩⼿先でやっても⼿を抜いてもバレなくすることは可能なのにもかかわらず、そこも真摯に向き合っていらっしゃっていて、芸⼈役を演じる上で、芸⼈さんへのリスペクトがすばらしいなというのはすごく感じていました」と絶賛し、原は「今⽇はいい酒が飲めそうです」と満⾯の笑みを浮かべた。
そして、原の座⻑としての印象を尋ねられた佐藤は「撮影当時、普段の原くんの感じをすべて隠し、それを最後まで貫き通していて、本当に難しい役だったと思うんですが、この役を全うしたな、すごいなと思いました」と⾆を巻いた。
さらに、そんなキャスト 3 ⼈の印象を聞かれた夏⽬監督は「原さんとは撮影の前から役作りの部分からいろいろ話し合わせてもらって、“佐藤賢治はこういうキャラにしよう”とか、役作りの部分でいろいろとコミュニケーションを取らせてもらいました」と打ち明け、「それは沢⼝さんもそうなんですが、3 ⼈で話し合ったり、先ほどお話にあったハニトラ梅⽊さんと(漫才の)⾃主練みたいなのをやってるのを⾒て、本当に役に真摯に取り組んでいるなと思いました。佐藤賢治は、原さんとは真逆の役というか、原さんは初めて会った時からキラキラしているし、その時ムキムキだったんですけど、佐藤賢治に合わせて役作りをして挑んでくれて、原さんには本当に⽀えられたなと思っています」と感謝。
続けて、夏⽬監督は「沢⼝さんも結構お話しましたよね。撮影に⼊る前もそうなんですけど、撮影中もいろいろお話させてもらって、沢⼝さんだからこそ市川理沙が演じられたんじゃないかなと僕は思っています」と語り、「アツヒロさんは、アドリブのシーンが何ヶ所かあって、アツヒロさんに『ここはナレーションバックなので、ちょっとお客さんを沸かせてください』みたいな無茶振りをしたんですが、アツヒロさんが事前に考えてくれていた⼀⼈漫談のようなネタをやってくれて、それがめちゃくちゃ⾯⽩かったですね」と絶賛。これに沢⼝も「しかも、エピソードが1つじゃなくて4〜5個ありましたよね。撮るたびに違うエピソードが出てくるので、“どこまで引き出しあるんだろう”って、みんなで逆に怖くなりましたね(笑)」と感嘆した。
そして、本作のキャッチコピー『彼⼥の笑顔が僕をヒーローにしてくれた』にちなみ、⾃⾝にとってのヒーローを尋ねられると、原は「僕にとってのヒーローは、最近、本当によく思うんですけど、⽀えてくださっているファンの⽅です」と答え、「僕は去年まで舞台を中⼼にやっていて、劇場の空間でお会いできるファンの⽅々を⽬の前にすることはありましたが、この間アリーナツアーをやりまして、そこで今まで⾒たことのない数の⾃分たちのファンが⽬の前にいた時に、“これだけたくさんの⼈に⽀えられているんだな”と。『僕が元気を与えているようで、逆に与えられている』って、よくアイドルの⽅はおっしゃいますけど、それが本当に⾝に染みて感じた瞬間で、助けられているなという思いはありました」としみじみと語った。
沢⼝は「私は今シーズン、スーパーフォーミュラという国内のフォーミュラレースのアンバサダーをやっていまして、そこでシリーズチャンピオンを獲った岩佐歩夢選⼿が私にとってのヒーローだなと思います」と答え、「2年⽬のシーズン参戦で、マシントラブルで完⾛ができなかったり、初優勝までがすごく道のりが⻑かったりして、悔しい思いをされている中で取材をさせていただいたので、先週、シリーズチャンピオンを獲ったあの瞬間というのは本当に“ああ、これは私のヒーローだな”というふうに思いましたね」と⽬を輝かせた。
同じ質問に、佐藤は「3 つぐらい考えたんですけど、考えたものをちょっとやめて…、原くんが⾔ったように、僕もファンの⽅に⽀えられているので…」と原に引っ張られた回答をして笑いを誘い、夏⽬監督が本当はなんと⾔おうとしていたのか教えてほしいとお願いすると、佐藤は「そうですね…ONE PIECEのルフィとかですね(笑)」と明かして会場を沸かせた。
また、今年 10 ⽉に開催された『ゆうばり国際ファンタスティック思い出映画祭』で原は、映画初主演でありながら今年新設されたヌーヴェル・エトワール賞のベル・アクトル賞を受賞したが、本作の企画プロデュースの⼩浜圭太朗⽒と、プロデューサーの峯松⾥⾹⽒も登壇し、原にトロフィー授与する⼀幕もあり、トロフィーを受け取った原は「トロフィーうれしいですね。僕なんかがこういう賞をいただき本当に光栄に思っていると同時に、僕だけでなくスタッフさんと、キャストの皆さんと、いろんな⽅のお⼒があって受賞できたものだと思っています」と笑顔で語り、「映画ってすごくパワーのあるエンタメだなと思う⽇々が最近よくありまして、どの映画を⾒ても、たった2時間で⾒た⼈の明⽇に影響を与えられる、すごいエンタメだなと思っていて、僕はそんな映画の中で役を⽣きることで、何か⼀つでも皆さんの⼼の中に持って帰っていただけるものがあれば幸せだなと思いますし、これがスタートだと思って、ここからまたゼロから役者として、もっともっと映画界を引っ張っていけるような役者に将来なれるように⽇々精進していきますので、この『初恋芸⼈』をはじめ、これからキャスト⼀同、いろんな活動をしていくと思いますが、まずは今回受賞いただけたということは、僕の⼈⽣にとっても本当に最⾼の1ページになりましたし、⽇々精進していくのでこれからも応援よろしくお願いします」と喜びを⼝にした。
そして、登壇者を代表して最後にあいさつを求められた原は「この作品は、演じていてもそうですし、観ていてもそうなんですが、どこかもどかしくなる作品と⾔いますか、佐藤賢治という売れない芸⼈なんですが、“お前もっとやれよ︕努⼒しろよ︕”って背中を叩きたくなるような、ムズムズした感覚を味わうかと思います。でも、何かをめちゃくちゃ頑張ってる⼈の背中を押せるような作品ってよくあると思うんですけど、僕はそっちより、何かできずに⽴ち⽌まっている⼈の背中をそっとさするぐらいの感覚だと思っております。何かを頑張ろうとしている⼈が、ほんの少しだけど、本⼈にとっては⼤きな成⻑みたいな瞬間が、この映画で表現されていると思うので、ぜひ楽しんでいっていただけたらと思います。本⽇はありがとうございました」と来場した皆さんに語った。
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©「初恋芸⼈」フィルムパートナーズ



