オペラとミュージカル映画の相違点―知っておくとより楽しめる!「ラ・ボエーム」のトリビア

オペラとミュージカル映画の相違点―知っておくとより楽しめる!「ラ・ボエーム」のトリビア

オペラの最高傑作「ラ・ボエーム」を大胆なアレンジをもって現代のニューヨークの街を舞台にミュージカルとして描く『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』が、10月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー。

オペラ最高傑作として長く愛され続けているジャコモ・プッチーニ作曲の「ラ・ボエーム」。その設定を<1830年代のパリ>から<現代のニューヨーク>に置き換え、メインキャラクターにアジア人を据えるなど大胆なアレンジのもと、これまでにないまったく新しいミュージカル映画として生まれ変わったのが、『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』である。そこで今回は、映画のもととなったオペラ「ラ・ボエーム」の知っておくとより物語を楽しむことのできるトリビアをいくつかご紹介いたします。ぜひこれらのトリビアに注目しながらお楽しみください!

①原作とオペラではお針子ミミの人物像が異なる
プッチーニのオペラでは、一途なミミと奔放なムゼッタが対照的なキャラクターとして描かれていますが、「ラ・ボエーム」の原作となったアンリ・ミュルジェの小説「ボヘミアン生活の情景」では、ミミは気性が激しく、奔放な人物として書かれています。プッチーニは、原作の挿話に登場するフランシーヌという肺病で亡くなってしまった儚い女性をミックスさせ、原作とは異なるオリジナルなミミを生み出しました。ちなみに、ミミとロドルフォがロウソクの消えた部屋で一緒にカギを探して恋に落ちるオペラの有名なシーンは、原作ではフランシーヌとジョンという青年の出会いの場面で書かれています。

②ミミの名前は本名ではなく、実はあだ名
本作でも、「私の名前はミミ。でも本当の名前はルチア」と歌われていますが、ではなぜルチアからミミというあだ名になったのでしょうか?ミミはフランス語の「mignonne(ミニョンヌ)」=「かわいい」という言葉の省略形です。ただし、この「ミミ(かわいい)」は通常は赤ちゃんや子猫、子犬などに用いられることが多く、本作のミミの場合は、日本語で言ういわゆる「かわいこちゃん」という意味が含まれています。ちなみに、ムゼッタも本名ではなくあだ名。ムゼッタはフランス語の「musette(ミュゼット)」からきており、バグパイプに似たフランスの民族楽器のことで、ムゼッタがうるさい娘であることから名づけられています。

③ロウソクに灯した火が貴重な時代だった
ロドルフォとミミの出会いは、ミミがロウソクの火をもらいにロドルフォの部屋を訪ねたことがきっかけでしたが、オペラ「ラ・ボエーム」の設定である1830年代のパリでは、マッチが誕生して間もない頃で、まだマッチは一般に普及しておらず、火打石を使っていたためロウソクに火を灯すのも一苦労。そこでミミはわざわざ隣の部屋まで火をもらいに来たのでした。しかし、設定を現代に置き換えた本作では、ロドルフォがポケットからライターを取り出してサッとミミのロウソクに火をつけてあげます。オペラ版の「ラ・ボエーム」を知っている人は思わずクスリと笑ってしまう場面でもあります。

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最終更新日
2023-10-02 14:00:00
提供
映画の時間編集部

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