ジム・ジャームッシュらとともに米インディーズ界の雄として一世を風靡した、アレクサンダー・ロックウェル。日本では25年ぶりの新作公開となる映画が、『スウィート・シング』の邦題で、2021年10月29日(金)より全国順次公開されることが決定。
ジャームッシュと並ぶ米インディーズのアイコン、『イン・ザ・スープ』のアレクサンダー・ロックウェル監督、25年ぶりの日本劇場公開作!
15歳の姉ビリーと11歳の弟ニコ。現代に生きる子どもたちの冒険を描く<このうえなく悲しいけれど、このうえなく幸福なファンタジー>
ロックウェル監督の日本での最後の劇場公開作は1995年の『フォー・ルームス』。その後もスティーヴ・ブシェミ、ジェニファー・ビールス共演の『13 rooms』(2002)や日本では配信のみの『ピート・スモールズは死んだ!』(2010)など人気作はあったもののなぜか日本公開されず、ロックウェル自身がニューヨーク大学で教鞭をとっているせいで寡作になり、本作はまさに待望の新作なのだ。
一貫してインディーズにこだわり続けてきたロックウェル監督が本作で描くのは、親に頼ることができず、自分たちで成長していかなくてはならない15歳の少女と11歳の少年の物語。子育てができない親たちという現代社会の問題を描きながらも、16ミリフィルムで撮影された美しいモノクロとパートカラーの映像は詩的で美しく、『スタンド・バイ・ミー』(1986)も彷彿とさせる子どもたちの冒険は幸福に溢れている。
実の娘、息子、妻、そして気のおけない俳優たち、16mmフィルム撮影のモノクロ&パートカラーの映像と最高に素敵な音楽の数々。映画愛にあふれるインディーズ映画の決定版!
主役を演じるのは、監督の実の子どもたち。姉ビリー役を娘のラナ・ロックウェル。弟ビリー役を息子のニコ・ロックウェル。実際のパートナーであるカリン・パーソンズが母親イヴを、『イン・ザ・スープ』からの盟友で、近年は『ミナリ』への出演など活躍中のウィル・パットンが父親アダムを演じる。また、全編を彩る音楽も、本作の魅力の一つ。タイトルにもなっているヴァン・モリソン『Sweet Thing』やビリー・ホリディ、テレンス・マリック『地獄の逃避行』(1973)のサウンドトラックの引用など、ロックウェルの音楽センスが光っている。なお本作は2020年2月ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門にてワールドプレミア上映され、最優秀作品賞を受賞。キャスト、映像、音楽、全てに映画愛が溢れたインディーズ映画の決定版をこの秋お見逃しなく!
※2020年東京国際映画祭でも『愛しい存在』というタイトルで上映された。
【ストーリー】15歳のビリーと11歳のニコ。
このうえなく悲しいけれど、このうえなく幸福なファンタジー。
頼る大人をなくした姉弟2人は、あてのない旅へ——甘美で切ない、現代版『スタンド・バイ・ミー』。マサチューセッツ州・ニューベッドフォード。普段は優しいが酒のトラブルが尽きない父アダムと暮らす、少女ビリーと弟ニコ。ある日、父アダムが強制的な入院措置となり、身寄りのないビリーとニコは、家を出て行った母親イヴのもとへ行くのだが……。子どもたちの、悲しいけれどどこか希望に満ちた、ひとときの冒険が始まる。