1983年、それまでジャンル映画が存在しなかったオーストリアで突然変異のように誕生した、あまりにも”異常“かつ、あまりにも”危険”な傑作映画『アングスト/不安』が 37年の時を経て、7月3日(金)より日本劇場初公開される。
狂人の醸し出す異様な雰囲気が日増しに世間の期待と不安を煽り続け、いよいよ公開間近となったこの度、主人公のさらに異常な様子を捉えた閲覧注意の本編映像が解禁となる。映し出されるのは、主人公 K.が事故を起こすシーン。直前に何があったのか、落ち着きのない様子で車を運転する K.が、勢いあまって前方の車に衝突。周囲の人々が集まって来ると、パニック状態に陥る。そして次の瞬間、運転席で狂ったように暴れ出す衝撃的な映像となっている。あまりに奇妙で恐ろしい姿に身の毛がよだつが、これほどまでに K.を追い詰め、異常な精神状態を生み出した背景に一体何があったのだろうか。
そこで、本作を鑑賞した二人の専門家が主人公の心理状態を分析。元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、主人公の犯行について「犯罪心理では計り切れない心理状態と凶暴かつ冷酷非情な行動」であると話す。長年の警察人生で多くの事件を担当してきた小川氏でも「犯罪心理やプロファイリングでは到底追いつかない、考えもつかない、異常に常識を逸脱した残忍な行動には驚き以外何もない」とコメント。さらに、心理学者(学術博士)の桐生正幸氏は、主人公の殺害動機について「まさに現代的なもの」であると語る。「過去の犯罪は、お金や人間関係のトラブルが主な動機だった。しかし、昨今の動機が理解できない殺人事件は、概ね、犯人が抱く個人内葛藤を解決するために犯行に及んでいる。犯人にしてみれば、その時の被害者は、たまたまそこに居合わせただけであり、ただ、自身の得体のしれない不安だけを、その被害者に投影しているのである。この映画の主人公は、我々から理解してもらえない動機を、”家族殺し”を実行することで、自ら告白し表現した。現代日本の凶悪犯の心理を代弁するかのような先駆的映画である」と考察。公開から 37 年もの時が経っているにも関わらず、「先駆的な犯行」を映し出しているという恐ろしい本作。忘れてはならないのは、この映画が娯楽を目的とした作品ではなく事実に基づく物語であるということ、そしてモデルとなった実在の殺人鬼は、今もどこかで生きているかもしれないということだ。観る者の気持ちまで不安にさせ、心に深い傷痕を残す危険性があるため、ここまでの話を聞いた上でも正気を保つ覚悟のある者にのみ、鑑賞を勧めたい。
なお、偽広告画像も解禁。この度、一部劇場にて掲示予定の偽広告画像も解禁!「狂人 K.がうろうろする」「圧倒的高揚に支配された狂人は、出獄後ただちに様子がおかしくなった」といった奇妙な文言や、不安にかられる主人公の画像の数々が盛り込まれた、怪しさ溢れる一枚となっている。
映画『アングスト/不安』は、7月3日よりシネマート新宿ほか全国順次公開。
(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion