「語られるべき物語」『シシリアン・ゴースト・ストーリー』監督が映画に込めた想い

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1993年シチリアで実際に起きた誘拐事件から紡いだ、少年少女の美しくも切ない幻想的なラブストーリー『シシリアン・ゴースト・ストーリー』が12月22日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー。
本作は、2017年カンヌ国際映画祭批評家週間のオープニング作品に選出され、イタリアの主要映画賞を多数受賞し、海外で高い評価を受けている。日本でも2018年イタリア映画祭の上映作品として選出され好評を博した。監督・脚本は、デビュー作『狼は暗闇の天使』が2013年カンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリに輝いたファビオ・グラッサドニアとアントニオ・ピアッツァのコンビが務め、本作がコンビ2作目となる。撮影を『グレートビューティー/追憶のローマ』のルカ・ビガッツィが担当し、光と闇を豊かな映像で映し出し幻想的な世界へと観客を誘う。
この度、本作の監督アントニオ・ピアッツァのインタビューが届きました。

◆主人公のルナは実在した人物がモデルなのか、それともこの物語を描くために想像された人物でしょうか?
「ルナは想像上の人物です。当時、この事件を周囲の人々が見て見ぬふりをしていた中で、ルナは、そうしなかった人、声をあげた人の存在として必要になりました。実在したジュゼッペは、ごく普通に学校に通っていて同級生たちもいました。映画の為にリサーチをしていた際、事件の結末が明らかになった時のシチリアの新聞を見つけました。同級生がアンチマフィアの抗議デモを行っている写真があり、デモ行進の先頭に立っていて、しかも大きな旗を持っていたのが2人の女の子でした。ルナの存在の手がかりが唯一あるとしたら、その写真の女の子たちで、それ以外はすべて想像の産物です。この物語を、彼を愛した女の子の視点で語りたかったという想いが込められています。」

◆脚本と監督を共同で手掛けていますが、役割分担は?
「脚本を書くまでの草案を練るところは二人で一緒に行い、二人で脚本を書きあげることが一番軋轢をもたらす作業になります。共同監督のファビオは対立すればするほどアーティスティックなインスピレーションを得ると信じているのでケンカしてナンボといった感じです。彼の言うとおりと思う部分もありますが、私にとってケンカしながら作業することはかなり大変です。20年間一緒に仕事をしていますが、毎回脚本を書く度に、お前の顔なんてもう見たくないと思う瞬間があります。
現場で監督としてカメラの前に立つときは、すごく仲が良く調和が整っています。というのも、だいたい現場には、少し早めに赴き、写真を撮って確認しながら、カメラを回す前にどういったアングルで撮るかなどハプニングが決してないように綿密に準備をしてから撮影に臨みます。実際俳優が現場に入ると、一見二人が分担しているような感じで動きますが、ファビオはアクティブでアドレナリンが高いタイプなので、俳優の所に自ら行って手取り足取り指導します。私の方は、体力がなく腰が重いのでモニターの前に陣取って映像をチェックする係です。」

◆イタリアで上映したときの周囲の反応はいかがでしたか?
「この映画がシチリアでどういう風に受け止められるのか正直心配でもありましたが、シチリアでの評判はとても良かったです。特に私ぐらいの世代の人たちは、この物語は語られるべきだという風に考えたのでしょう。また、若い世代にはきちんと受け止められて、イタリアの学校で上映する機会もあり、長期間に渡って上映が行われています。特にシチリアで上映され続けています。」

『シシリアン・ゴースト・ストーリー』は12月22日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーです。

©2017 INDIGO FILM CRISTALDI PICS MACT PRODUCTIONS JPG FILMS VENTURA FILM

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最終更新日
2018-12-03 14:40:00
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