2016年3月12日に公開を控えた『母よ、』のナンニ・モレッティ監督のオフィシャルインタビューが到着した。
映画はナンニ・モレッティ監督が『ローマ法王の休日』以来、4年ぶりに手がけたのは、すべての人がいつか必ず経験する親の死を通して、家族とは、人生とは何かという普遍的なテーマを描いた感動作だ。
映画ではマルゲリータ・ブイが主人公の女性映画監督を演じてますが、あなたの分身ですか?
■ナンニ・モレッティ監督:この映画で主役を自分で演じることは最初から考えていませんでした。そういうことはかなり前にやめました。そうしてよかったと思っています。以前は喜んで演じていましたが、今はもう次から次へと映画で役を作り上げたいという固定観念に駆られることはありません。ずっと考えていたのは、この役は女性の監督という設定にして、演じてもらうならマルゲリータ・ブイがいいだろうということでした。理由はとても単純で、私が主役を演じるよりマルゲリータ・ブイが主役のほうがはるかにいい映画になるからです。彼女は私よりもはるかに優れた役者ですからね。
それでも、映画の中であちこちに、あなたがいるという印象があります。
■ナンニ・モレッティ監督:ローマのカプラニケッタ映画館の前で、私がマルゲリータの兄を演じているシーンがあります。その中で、マルゲリータに彼女の中にある心理的な決まり事のうち少なくとも1つを打ち破ってみるように言っているのですが、まるで自分に言っているかのようでした。私はずっと、時がたてば心の奥から自分が引き出されることに慣れるだろうと考えていました。しかし、それどころか、私がこの道を進めば進むほど、倦怠感が生じてきます。映画は個人的な告白ではないのです。ショットやフレーム、選択肢、演技があって、実際の人生とは違います。
ご自分の作品をどう定義なさいますか? 自伝でしょうか。
■ナンニ・モレッティ監督:すべての物語はいくらか自伝的です。『ローマ法王の休日』の中で役を演じながら法王について語っていた時、私は自分自身について話していました。ミシェル・ピッコリ演じる法王は、自分は法王が向いていないと感じていましたが、私が『夫婦の危機』でシルヴィオ・オルランドの演技と個人的な物語を描いた時も同じ心境でした。どれくらい自伝的か測りたいと願うことより重要なのは、一つ一つの物語に関して個人的なアプローチをすることです。
『母よ、』の脚本を考え始めたのはいつですか?
■ナンニ・モレッティ監督:私は大抵、かなり時間を置いてから次の映画に取りかかります。前の映画に向けていた精神や感情を忘れる必要があるからです。充電期間が必要なのです。でも今回は、『ローマ法王の休日』が公開されるとすぐに、次の映画について考え始めました。映画の中で描かれていることがちょうど私の人生でも起こった時、執筆に入りました。それはおそらく物語に影響を与えたと思います。