パリとノルマンディーを舞台に、人生の輝きを描き出す3世代の物語『愛しき人生のつくりかた』が1月23日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショーとなる。
本作で、定年ウツと夫婦の危機に頭を悩ます父親ミシェル役を演じた、ミシェル・ブランのオフィシャルインタビューが到着した。
この企画の何に魅了されたのでしょうか?
■ミシェル・ブラン:コメディと偽りのない感動が混ざり合っているからです。これは人生が持つ本来の姿を見せようとする作家の真の作品です。登場人物に対して暖かいアプローチをするジャン=ポールの技量のおかげで、この作品はまるで本物の人生の様になりました。例えば、彼が演ずる酒飲みで青年に愛情を抱くタガが外れたホテルの主人の役にはとても感動しました。そして、この作品にはオリジナリティがあります。警察署でのシーンのように可笑しな会話と、アニー・コルディにまつわる純粋な感動をもたらすシークエンスがとても特殊な形で混ざり合っています。
いくつかの台詞を直しましたか?
■ミシェル・ブラン:全くしていません。通常、私は他の人の仕事を尊敬しますが、台詞が嫌いで書き直しを頼むことも時にはあります。しかし今回は台詞をとても気に入りました。なので、できるだけ忠実にジャン=ポールの台詞を言うようにしました。「ピューマの母親」という台詞のように!(*フランスでかなりの年下の男性とつきあう女性のことを「クーガー(ピューマ)」といいます)
あなたの役を説明していただけますか?
■ミシェル・ブラン:早期退職をしたことが耐えられないと告白することも、自分のしたいことに打ち込むこともできない男です。自分が変わってしまったこと、我慢ならない男になったこと、妻の人生を台無しにしていることに気付かないのです!そこに母親の問題が加わり、強くならなくてはいけない時に弱ってしまうのです。この役を作り上げるにあたって、非常によく構成されていると思いました。(決断をして)テーブルを叩かなければいけない時にも、兄弟たちの言いなりになってしまいます:母親を老人ホームに入居させ、アパルトマンを売るという考えは彼のものではありません。私にとっての彼は、海がしけている時に船のマストを失ってしまう男なのです。
どのようにジャン=ポールは俳優の演技を指導していましたか?
■ミシェル・ブラン:素晴らしい俳優指導のディレクターを発見しました。まず非常に感受性が強く、完璧な正確さと十分な謙虚さを持っており、時には「違う、君が正しいよ。君が提案したようにした方がいい」と言うこともありました。たとえ99%は彼の直感が正しいとしてもです。彼は常に真実を、人生における現実を追っていました。それに何も諦めませんでした。自分の望んだものが得られないならば何度もシーンをやりなおし、自分の望むものをきちんと説明しました。監督業に進出した俳優は、演技の指導をしている俳優の頭の中にこびりついている問題を追い出す第六感があるとよくいいます。ジャン=ポールの場合はそうなのです。
撮影現場の様子はいかがでしたか?
■ミシェル・ブラン:ジャン=ポールのカメラの配置は決して平凡なものではありませんでした。フレームと動きをきちんと研究し、無意味に映像を美化しようとしません。全てが脚本によって引き出されるのです。こんなに素早くいい仕事をする監督を見るのは初めてかもしれません。時には予定より1時間も早く撮影が終了する日もありました。それはジャン=ポールが録音も含めて素晴らしいスタッフに囲まれているからかもしれません。録音が複雑な路上や車の中、幾つかの外での撮影にも関わらず、今までにない程、ほんの少ししかアフレコをしませんでした。
本作の監督である、ジャン=ポール・ルーヴもミシェル・ブランについて、「(キャスティングにあたって)彼は役選びにとても慎重なのですが、2日後にすぐ返事をくれました!私はとても嬉しく、誇りに思いました。ミシェルは偉大な俳優であるだけでなく、類い稀な映画監督、脚本家、台詞作家なのです。」と称賛している。