島にて 作品情報
しまにて
「島にて」の解説
山形県唯一の有人離島・飛島の人々の暮らしを記録したドキュメンタリー。かつて日本海側の海の交通の要所として栄えたが、過疎と高齢化が進み現在は約140 人が暮らす飛島。漁師、島唯一の中学生、Uターンなどで来た若い人らが島で営む平成最後の年を映し出す。監督は、「ただいま それぞれの居場所」で平成22年度文化庁映画賞文化記録映画大賞を受賞した大宮浩一と、「桜の樹の下」で第71回毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞を受賞した田中圭。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2020年6月1日 |
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キャスト | 監督:大宮浩一 田中圭 |
配給 | 東風 |
制作国 | 日本(2019) |
上映時間 | 99分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「鈴木敏明」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2020-06-03
不思議な映画を観た。『島にて』だ。映画は普通、物語の「入り口」から入って「出口」に向かう。この構造は、キュメンタリーでもドラマでも共通で、「出口」に向かいながら観客はさまざまな場所を疑似体験し、登場人物と出会いシンパシーを覚えたり嫌悪したりしながら自分と異なる考え方や特異な行動に出会い、驚き、ときに感銘を受け、「出口」に至りながら観客は自らの心の変容を楽しむ。それをカタルシスと呼ぶこともある。
しかし、『島にて』には「入口」も「出口」も存在しない。過疎を嘆くことも、過疎を招いた政策を糾弾することもない。あるのはただ、島にいる人びとに向けられた無垢な眼差しだけだ。終始一貫した寡黙なこの眼差しは、何を意図しているのだろう。映画はなぜ事を起こさない、つまり問題提起をしないのだろう――。
ボクは、わずかな苛立ちを伴いながら「出口」へと向かう。向かいながら映画がすべてを肯定しようと努めていることに気付く。更に気付く。『島にて』は、事を起こさずに、それでも確かに問題提起をしていることに。