Ryuichi Sakamoto:CODA 作品情報
りゅういちさかもとこーだ
東日本大震災後、宮城県名取市で被災ピアノと出会った坂本は、自然の猛威によって水に溺れたピアノの音を聞き“痛々しくてその鍵盤に触れるのも辛かった”と語っていた。だが、今はその壊れたピアノの音色が心地良く感じるという。時と共にその被災ピアノの“自然の調律”の音は、サンプリングを通じて坂本の作曲プロセスの一部となり、新たな表現へと生まれ変わった。積み重なるコラージュのように、現在の作曲プロセスと交差していく、音を探求するかつての坂本の姿。バブルの時代、坂本はYMO(=イエロー・マジック・オーケストラ)の一員として、日本を象徴するポップアイコンとなった。そして「戦場のメリークリスマス」、「ラストエンペラー」に出演、その音楽も手がけ、「ラストエンペラー」では米アカデミー賞を受賞。やがて訪れた2001年9月11日、ニューヨークの自宅近くで起きた米同時多発テロによる圧倒的な暴力。それが生み出す世界の不均衡と非対称を感じつつ、人間の暴力性の生物学的なルーツを追い求め、音楽の原点を探した。震災から3年を経た2014年3月11日には自ら防護服を着用して福島第一原発を囲む特別警戒区を訪れ、無人と化した集落の残像の音に触れた。テクノロジーに頼る現代人の営みが自然環境を蝕み、人間の生き場所をも奪ってしまうことへの悲しみが、本作内における坂本の作曲プロセスの根底にあるように思われる。2014年7月には中咽頭ガン罹患を公表。1年近くに及ぶ闘病生活を経て、山田洋次監督「母と暮せば」、第88回アカデミー賞で3部門を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督「レヴェナント:蘇えりし者」の音楽を同時期に手がけて復帰。2017年3月には、8年ぶりとなるオリジナル・アルバムがリリースされた。カメラは楽曲制作の現場に密着。坂本龍一の最終楽章の始まりが、スクリーン上で奏でられる。
「Ryuichi Sakamoto:CODA」の解説
2012年から5年に渡って坂本龍一に密着、過去の歩みを振り返りながら、新たな楽曲が誕生する過程を追ったドキュメンタリー。東日本大震災の被災地で、水に濡れた被災ピアノと出会った坂本は、ガンとの闘病などを経て、新たな楽曲を生み出してゆく。監督は、ニューヨーク大学で映画製作を学び、「ロスト・イン・トランスレーション」の共同プロデューサーを務めるなど、日本映画界との関わりも深いスティーブン・ノムラ・シブル。
2012年から5年にわたって坂本龍一に密着し、過去の歩みを振り返りながら、新たな楽曲が誕生する過程を追ったドキュメンタリー。東日本大震災の被災地で、水に濡れた被災ピアノと出会った坂本は、ガンとの闘病などを経て、新たな楽曲を生み出してゆく。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2017年11月4日 |
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キャスト |
監督:スティーブン・ノムラ・シブル
出演:坂本龍一 |
配給 | KADOKAWA |
制作国 | アメリカ=日本(2017) |
上映時間 | 102分 |
(C)2017 SKMTDOC, LLC
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2020-01-26
坂本龍一が音楽を通じて世界と向き合うドキュメント,其の繊細な感性が9.11,3.11以後の社会を捉え自然の声に耳を澄ます。詩情豊かに…