P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2022-06-13
出演の林遣都が一人三役で三兄弟を演じるドラマ〈世界は3でできている〉はコロナ禍のソーシャル・デイスタンスな痛快諧謔なファミリー・ストーリーでギャラクシー授賞作!
かしん
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出演の林遣都が一人三役で三兄弟を演じるドラマ〈世界は3でできている〉はコロナ禍のソーシャル・デイスタンスな痛快諧謔なファミリー・ストーリーでギャラクシー授賞作!
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
心に正直であるのと、正直に言ってしまうのとは違います。性愛の求道者として生きる道を選んだのであるならば、自分を愛してくれた人や、周りの人を傷つけないように最大限の配慮をすることは必要でしょう。結婚してから自身の性質に気づいた。結婚すべきではなかった。しかし、家と親の圧力や時代背景があったにせよ、結婚前に逃げ出さずに受け入れた責任はあるのです。
なので主人公の、好きな人ができました。とか、お試しで他人と寝てみたら愛が無くても感じました。の中間報告や、貴方とじゃなくて惚れた人と寝てどういう違いがあるか探究してみたい、などという本心を、目の前の自分を愛してくれている夫君にペラペラ喋ってしまう神経が分からぬ。何でも正直に言えばいいというものではありません。思いやりがなさすぎます。
ただ、役者さん達の演技と映像が美しくて魅力的。主演の女優さんの痛ましいほどの努力に賞賛を贈りたいと思います。
私は2年前に寂庵に行ったことがある。とびっきりの美人の秘書がおられるところだ。大好きだった。だからこの映画は観るたびに、その時のことを思い出す。これは愛とは何か、性とは何か、人生とは何かをじっくり考えさせてくれる、素晴らしい作品だ。
瀬戸内晴美の文壇デビュー作の映画化の本編に寄せる手紙にも書かれていたが、此れは肉体と精神の相剋の物語…。ラデイゲ原作の映画で云えば「肉体と悪魔」何だろうー。愛を言葉に紡ぐ息苦しさが原稿用紙に向かう作家の虚構性、創作時の苦悩としても犇々と伝わって来る!
そしてエリック・サテイの曲と村川絵梨嬢のポーカー・フェイスが中々に佳いんだ🎵少ない台詞でサイレント映画の様にじっくり映像で語る安藤尋監督の即物的な演出が又、見物何だろうねぇ。
安藤尋監督の映画〈海を感じる時〉にも登場人物の即物的な描き方に共鳴したが、本編は何と11日の早撮りで家族の、夫婦間の愛情と結婚との男女の相剋を夢二風な大正ロマンチシズムな絵画様式美で切り取っている。「美は乱調にあり」の初期瀬戸内作品の禁断の恋をポルノグラフィック的なショットと子宮で考える観念的なモノローグとで静かに語った…。
確かに原作が発表された当時と平成の現代では「性」に対する人々の考えはかなり違っているであろう。そのことを考慮してもこの作品のつまらなさは何だ。主役の女優に魅力がないのが最大の欠点! エロティシズムもエクスタシーも何~も感じません。日活ロマンポルノの傑作映画の方がはるかに上だ。