ニーチェの馬 作品情報
にーちぇのうま
初老の男(デルジ・ヤーノシュ)とその娘(ボーク・エリカ)、そして年老いた馬が暮らす、人里離れた荒野の中の一軒家。唯一の収入源は馬と荷馬車だった。父は荷馬車仕事を、娘は家事を行なって日々を過ごす。暮らしぶりは貧しく、毎日は限りなく単調。熟練の動作と季節の変化、一日の時間によってリズムと決まりきった仕事が与えられるが、その重荷が残酷に彼らにのしかかる。日常生活には、時おり訪れる人々がいる以外、これといった事件は起こらない。だが、その単調な日常に微かな異変が起こり始める。木食い虫は鳴くのをやめ、馬はエサを食べず、ついに井戸が枯れる。そのため男は、娘と馬を連れてこの家を出て行くことを決意する。だが、2人と1頭は家の前の丘を登り切ったところで、何故か引き返してくる。とうとう火種もつき、男と娘は生のジャガイモの食事を前にして、ただただ沈黙するのである……。
「ニーチェの馬」の解説
ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督が“最後の監督作”と公言して作り上げた作品。美しいモノクロの長回し映像で捉えた1人の農夫とその娘の過酷な日常生活を通じて、人間の倫理と尊厳を問う。出演は「倫敦から来た男」のボーク・エリカとデルジ・ヤーノシュ。ベルリン国際映画祭で審査員特別グランプリと国際批評家連盟賞を受賞。
第61回ベルリン映画祭で銀熊賞に輝く、ハンガリーが誇る鬼才タル・ベーラの最新作。ドイツ人哲学者フリードリヒ・ニーチェがトリノの広場で発狂したという晩年の逸話をベースに、荒野に生きる腕の不自由な農夫とその娘の姿を見つめていく。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2012年2月11日 |
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キャスト |
監督:タル・ベーラ
出演:ボーク・エリカ デルジ・ヤーノシュ |
配給 | ビターズ・エンド |
制作国 | ハンガリー フランス スイス ドイツ(2011) |
上映時間 | 154分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「PineWood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2017-03-21
強風の中を馬が只ひたすら歩く…。猛吹雪の中を家に辿り着き蒸かした馬鈴薯を手で砕きながら食する父と娘ー。酷しい北の国から白黒無声の映像に響くその旋律は、絶えず繰り返されて重苦し程だ♪耳鳴りの如く!日常生活の中に説明抜きの民衆の姿は、恰もゴッホの絵見たいでもあるし、新藤兼人監督の<裸の島>の北国版なのかも…。何も無いアブストラクト。黒い一頭の馬と白い人。映画の原点が射撃銃の原理から始まった様に鞭打たれたニーチェの馬の影が白い四角いスクリーンを只、ひたすら横切って往く…