かすかな光へ 作品情報
かすかなひかりへ
93歳の教育研究者、大田堯の挑戦。それは、一兵卒として経験した戦争から始まった。そこで彼を待ち受けていたのは、36時間の生と死が交錯する漂流だった。生きる力を試されたジャングル生活。生活に根ざす知恵と力を身につけた農民兵や漁民兵など労働者たちとの出会い。自分は一体何のために生きているのかと、プライドはズタズタにされた。敗戦直後。さまざまな職業の住民が参加した“民衆の学校”作りに取り組むが、挫折。そして、自ら働く人たちの中に飛び込んでいった共同学習。それは村の不良青年と生活を共にし、学ぶことを通して、初めて心と心を通わせることのできた学習体験だった。やがて訪れた高度経済成長時代は社会も教育の姿もガラリと変える。国を被告とする家永教科書裁判、人間の絆が断ち切られる孤独化現象。大田堯の人生は戦後と真正面から向き合っていく。そのなかで掴んだ教育とは、“教え育てる”という従来の教育観を根底から覆すものだった。そして大田は今、自然の摂理に沿った、生命あるものの絆の再生を目指す。
「かすかな光へ」の解説
教育研究者であり東京大学名誉教授でもある大田堯氏が辿ってきた人生と、教育に賭ける情熱を追ったドキュメンタリー。谷川俊太郎の同名詩集に収められた詩を、谷川本人の朗読で挿入。監督は、夜間中学を取材した「こんばんは」などの作品で青春と学びを描いてきた森康行。「石内尋常高等小学校 花は散れども」の林光が音楽を担当。
東京大学の名誉教授でもある、93歳の教育研究者・大田堯。彼がたどってきた波瀾万丈にして教育に一身を捧げてきた人生を振り返りながら、現代の日本が高度経済成長を経て失いつつある“人間同士の絆”を教育で取り戻そうと奮闘するさまを追う。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2011年7月30日 |
---|---|
キャスト |
監督:森康行
原作:谷川俊太郎 出演(声):谷川俊太郎 津嘉山正種 |
配給 | ウッキー・プロダクション |
制作国 | 日本(2011) |
上映時間 | 84分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-11-22
本篇の谷川俊太郎の訃報を聴いてユリイカ誌92年目谷川俊太郎を読む。ファースト詩集20億光年の孤独をガルシア・マルケスの小説・百年の孤独に比したもの等興味深い文が寄せられて居た。其の孤独の旅の軌跡は例えばSF作家・光瀬龍の小説・百億の昼と千億の夜等にも共通する主題何だろうと