かげろう(2003) 作品情報

かげろう

1940年6月、パリにはナチス・ドイツ軍が攻め込み、夫を亡くした教師オディール(エマニュエル・ベアール)は、13歳の息子フィリップ(グレゴワール・ルプランス・ランゲ)と7歳の娘カティ(クレランス・メイヤー)を連れて南仏を目指す。やがて爆撃により周囲の人々が倒れていく中、たくましい生命力を持つ17歳の少年イヴァン(ギャスパー・ウリエル)が、母子の命を救った。彼を警戒しながらも、共に森の奥深くへと進むオディールたち。まもなく彼らは無人の屋敷を発見し、そこで共同生活を営むようになる。最初はイヴァンに心を許さず、不法に他人の家に滞在することに罪悪感を持っていたオディールも、徐々にこの生活を受け入れていく。そしてイヴァンが字が読めないことを知った時、彼に字を教えながら、彼女に別の感情が芽生え始めた。そんな中、戦火から逃れた軍人が2人、屋敷にやってくる。イヴァンは過剰に警戒するが、彼らは紳士的な態度に終始し、数日滞在した後、屋敷を去っていく。その途端、何か堰を切ったようにオディールはイヴァンに野外で抱きつき、そのままセックス。しかしまもなく、警察が4人を発見。オディールと子供たちは保護されるが、イヴァンは実は感化院を脱走した少年であることが判明し、そのまま逮捕される。そして彼は、独房で首を吊って自殺してしまうのだった。

「かげろう(2003)」の解説

第二次大戦下のフランスで、孤独な少年と未亡人の恋愛感情を綴るドラマ。監督・脚本は「溺れゆく女」のアンドレ・テシネ。製作は「太陽と月に背いて」のジャン=ピエール・ラムゼイ・レヴィ。脚本は「デュラス 愛の最終章」のジル・トーラン。原作はジル・ペローの小説『灰色の目の少年』。撮影は「彼女たちの時間」のアニエス・ゴダール。音楽は「マドモアゼル」のフィリップ・サルド。衣裳は「トスカ」のクリスティアン・ガスク。出演は「8人の女たち」のエマニュエル・ベアール、「ジェヴォーダンの獣」のギャスパー・ウリエルほか。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2004年1月24日
キャスト 監督アンドレ・テシネ
原作ジル・ペロー
出演エマニュエル・ベアール ギャスパー・ウリエル グレゴワール・ルプランス・ランゲ クレメンス・メイヤー
配給 ギャガ
制作国 フランス(2003)
上映時間 95分

ユーザーレビュー

総合評価:3点★★★☆☆、1件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2019-10-05

1940年ドイツの攻撃によりパリから脱出した子連れの女教師が出会った感化院脱走少年との束の間の触れ合いを描いた映画。ドイツ占領下の過酷な時代背景は、名画「禁じられた遊び」と同じだが、内容は「ルシアンの青春」に類似した男女の恋愛悲劇になっている。年上の未亡人を演じるエマニュエル・べアールの揺れ動く女性心理が、丁寧で細かい表情変化で説得力を持つ。14歳の長男とカエル遊びに夢中の長女の設定も良く、少年との関係が戦時下の限られた状況であることを印象付ける。対して少年役のガスパール・ウリエルに、もう少し幼さ故の危うさがあれば良かったと思います。人間ドラマと云うより、べアール主演の女性映画としての価値は高い。

最終更新日:2022-07-26 11:03:37

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