P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2024-05-12
この映画「CASSHERN」は、昔懐かしいアニメの「新造人間キャシャーン」の実写版ということなのだが、この映画は、設定だけを借りた別物として観た方がいいと思う。
世界観を大胆に変え、メッセージ性の強い作品になっていると思う。
監督・脚本は、紀里谷和明。雑誌写真、ミュージックビデオなどを手掛け、この作品が初監督作だ。
CGなどで徹底的に作り込んだ映像は、ほとんどアニメのようで、リアリティーはほとんどない。
ダークでアジア的なデザインは「ブレードランナー」や「攻殻機動隊」を思わせて、残念ながら新鮮さは、あまり感じられなかった。
しかし、そういう非現実的な映像をバックに、苦悩する登場人物たちは「ハムレット」や「リア王」といったシェークスピア劇のようで、唐沢寿明や寺尾聡らの演技が引き立って見えるのが面白い。
そして、最後に浮かび上がるのは、昨今の世界情勢を反映したような、憎しみの連鎖をどう断ち切ればよいのかというテーマ。
伝えたいことは分かるだけに、脚本がこなれて、すっきりしていれば、もっとメッセージが生きたのではないかと思えて、惜しい気がする。