天国の青い蝶 作品情報
てんごくのあおいちょう
10歳の少年、ピート・カールトン(マーク・ドネイト)は末期の脳腫瘍に侵され、もはや余命いくばくもない体だった。「どうして、僕だけが…」。外で遊ぶ他の少年たちを見ながら、彼は自分の不運を嘆く。しかし、そんな彼にも、かなえたい夢があった。それはこの世でもっとも美しい青い蝶、ブルーモルフォに、自分自身の手で触れること。蝶が大好きなピートは中南米の熱帯雨林にしか生息しないその幻の生き物を、命あるうちに見たいと願っていた。息子の願いを知った母親テレサ(パスカル・ブシェール)は、彼をモントリオールにできたばかりの昆虫博物館へ連れて行く。ピートが尊敬してやまない世界的に有名な昆虫学者アラン・オズボーン(ウィリアム・ハート)に会わせるためだ。ピートの願いをかなえてくれるのは彼しかいない。しかし、アランは見知らぬ少年に対して、そっけない態度を見せる。車椅子にのった病気の子どもをジャングルに連れて行くなんて無茶な話だ。第一、ブルーモルフォを見られる時期はあと一週間で終わってしまうではないか。だが、ピートはあきらめなかった。アランの留守番電話に、ひとりで探しに行くとメッセージを残し、彼は空港へ向かう。心配したアランがピートの家を訪ねると、ちょうど警官に保護された少年が戻ってくる。アランは、そんなピートの熱意に打たれ、彼の願いを聞き入れる決心をする。飛行機の中でピートは、アランを質問攻めにして閉口させる。だが、彼が手紙を書けずに悩んでいるのに気づいたピートは、アランには片思いの恋人がいるに違いないと思い込み、彼を母テレサの再婚相手にしようと考える。父は事故で他界し、母はピートが信頼できる男性を恋人に選んだことがなかったからだ。アランはピートとテレサを、熱帯雨林の先住民族の村へ連れて行った。案内役のアレホ(ラオール・トゥルヒロ)にはピートと同じ年頃の娘ヤナ(マリアネッラ)がいて、彼女は言葉が通じないピートに優しい気持ちを抱く。翌朝、アランたちは森の奥へ出発した。これまで狭い世界しか知らなかったピートは、森の生き物たちを見つけるたびに、胸を躍らせる。だがブルーモルフォの姿はない。その晩、ピートが目をさますと、ヤナがいた。なぜ青い蝶にこだわるの? と彼女は問う。あなたも私もすべてが青い蝶なのよ、と彼女は謎めいた言葉を投げかける。一方、テレサはアランと話していた。アランが恋人のことで悩んでいるとピートに聞いたからだが、どうやらそれは勘違いだったらしい。翌日になっても、蝶は見つからなかった。探検の途中で、ピートはアランから秘密を打ち明けられる。アランが手紙を書こうとしていたのは恋人ではなく、17年前に別れた妻との間の娘なのだ。人間との付き合いが苦手なアランは、家族との生活をあきらめ、昆虫の研究だけにエネルギーを注いでいた。「僕は英雄どころか善良な人間ですらないんだ!」とアランは厳しい口調でピートに自分の過去の話をする。アランは、ブルーモルフォが見つからないことにいらだちを感じ始めていたのだ。しかし、アランがあきらめかけた時、茶色い蝶が姿を現した。ブルーモルフォのメスだ。ピートを肩に乗せて走り出したアラン。だが、彼の脚よりも蝶は速かった。その夜、ピートが高熱で倒れた。夢の中で先住民たちの歌が鳴り響き、彼は、突然、体が楽になったと感じる。目を覚ましたピートは傍らで見守っていた母に、明日はアランと二人だけで森へ行きたいと告げる。ふたりだけなら、きっと、ブルーモルフォが現れる、と彼は信じていたのだ。そして、アランも彼女に約束する。命をかけてピートを守る、と。旅を通じて、アランとテレサの間にも、確かな信頼関係が芽生えようとしていた。次の日、ピートとアランは出発の準備をしていた。アレホはピートを肩車で運ぶアランのために、特製の背負子を作って贈った。ヤナはピートのために戦士の首飾りをかけてくれた。その顔には戦士のペインティングが施されている。人々の温かい声援を受けながら、遂にふたりだけで森の中へ出発するアランとピート。そして森の奥では、想像を絶するような奇跡が彼らを待ち受けていた。
「天国の青い蝶」の解説
国際的に知られる昆虫学者と、末期脳腫瘍を患うカナダの少年との間に起きた奇跡的な実話をもとに描かれた人間ドラマ。監督は「翼をください」のレア・プール。主演は「A.I.」のウィリアム・ハート。難病の少年を、「ペイフォワード 可能の王国」のマーク・ドネイトが演じる。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2004年8月14日 |
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キャスト |
監督:レア・プール
出演:ウィリアム・ハート パスカル・ブシェール マーク・ドナート ラウル・トルイロ |
配給 | 東芝エンタテインメント |
制作国 | カナダ イギリス(2004) |
上映時間 | 96分 |
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