月の砂漠 作品情報
つきのさばく
学生時代にインターネット企業を興して、ベンチャー企業として日本初の株式海外市場=シンガポール市場上場を達成した男・永井恭二(三上博史)には、「家=house」はあっても「家庭=home」はない。IT ビジネス界の寵児となった永井は、美しい妻アキラ(とよた真帆)と愛らしい娘カアイ(碇由貴子)とともに豪華な邸宅に住み、高級外車を乗り回していた。経済人、そして家庭人としても「成功者=勝ち組」の人生が、永井には約束されていたはずだった…。しかし、グローバル市場に打って出た時、成功の轍は軌道を外し始めた。テレビの経済番組にゲストとして出演した永井は、こう語る。「欲しいと思ったものを手に入れると、その欲しかったものは消えてなくなる。後に残るのは妄想だけ」。その番組を見ていた男娼のキーチ(柏原収史)は、その晩道端に寝転んでいたところを、偶然にも永井に拾われる。「あんたの言ってた“欲しかったもの”って、家族のこと?」。と訪ねるキーチに、永井は応える代わりにこう頼んだ。「妻と娘を探してくれ。見つけたら、女房を誘惑して寝てくれ」。実は永井は妻子に逃げられ、ふたりの写真やビデオといった虚像しか、永井の傍らには残されていないのだった。その頃、アキラとカアイは都内のホテルに滞在していた。キーチはアキラを見つけ出し、誘惑するもあっさりと永井に雇われたことを告白する。しかし動じないアキラは、カアイを連れて誰もいない実家に戻り、母娘ふたりきりで暮らすことを決意していた。その週末、ふとオフィスに出社した永井は、学生時代からの盟友である市山(生瀬勝久)と榊(ピエール瀧)から、「お前は変わった」と激しくなじられる。上場は失敗だったという意見のふたりは、現在取り組んでいるプロジェクトを最後に退社する、と永井に告げる。「やり直そう」と激昂する永井に、次回の取締役会が最後だと言い残し、市山と榊は部屋を後にする。社会的地位も家族も、なにもかも失い呆然とする永井は、キーチのもとを訪れる。そこへキーチの仲間のツヨシ(細山田隆人)が拳銃を持って現れ、「これから父親を殺しに行く」と言い放つのだった……
「月の砂漠」の解説
「EUREKA ユリイカ」でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞と、エキュメニック賞を受賞。自ら書き下ろした小説『EUREKA ユリイカ』(角川書店刊)で、第18回三島由紀夫文学賞を受賞した天才映画作家・青山真治の作品。ITベンチャーとして時代の寵児となった男が、崩壊した家庭を取り戻そうとする姿を描く。主演は『パラサイト・イヴ』以来5年ぶりに映画に出演する三上博史。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2003年9月6日 |
---|---|
キャスト |
監督:青山真治
出演:三上博史 とよた真帆 柏原収史 萩原健一 秋吉久美子 夏八木勲 碇由貴子 細山田隆人 國村隼 生瀬勝久 ピエール瀧 村上淳 粟田麗 江角英明 船木誠勝 津田寛治 板尾創路 陸小聴 山田里子 マイカ・リッチモンド 宮下俊樹 神尾和子 西出武 高田強 和田遊子 斉藤優太 長谷川清 斉藤ますみ 大沢ゆかり 高橋知美 伊藤ゆきえ 白井弓子 津野明美 浦部有香 菊澤葉子 眞賀亜希子 倉田千鶴 中田智子 田中香子 瀬戸奈保子 薛宏美 竹中伸一郎 持田巻子 松村曜生 佐々木章浩 宇賀神明広 野田義弘 木村義信 広沢俊 八幡朋昭 黒田浩二 水上武 御東地嵩史 阿部洋 池田朋之 足立学 藤原正和 新谷海人 和田慎一郎 |
配給 | レントラックジャパン=パンドラ |
制作国 | 日本(2001) |
上映時間 | 131分 |
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「月の砂漠」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。