雨あがる 感想・レビュー 4件

あめあがる

総合評価5点、「雨あがる」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-17

この映画が初めて劇場で公開された時、晩年の黒澤明監督の作品に違和感を持つ者として、黒澤明の残した脚本を、黒澤組の助監督が映像化する話には、最初、あまり興味と魅力を感じなかったものだ。

どうせ直球一辺倒で、正座して観なければならないような映画だろうと思ったからです。
しかし、観終わった時、それは予想に反し、心地よい方へと見事に裏切られましたね。

この映画は、「赤ひげ」など黒澤明が好んだ山本周五郎の原作だ。
江戸時代、剣の達人・三沢伊兵衛(寺尾聰)は不器用なために浪人暮らしを余儀なくされていた。

妻たよ(宮崎美子)と旅をする途中、大雨で足止めされた土地で領主(三船史郎)と出会い、仕官の話が持ち上がるが——-。

この映画を観て、夫婦は互いに信頼し合おうとか、他人を押しのけて出世するのはよそうとか、そんな薄っぺらなヒューマニズムを読み取ることも可能だとは思う。
しかしながら、この映画を深読みして観ると、これは何と言ってもウェルメイドのコメディーなんですね。

伊兵衛に試合を挑んだ威張り屋の領主が、転んで垣根の向こうに消えた直後、水しぶきの音が聞こえるという処理の仕方。 物静かなたよが、いつもの丁寧な口調で客人に暴言を吐く間合い。 真面目な演技をすればするほど、おかしみが生じる。特に、力みかえった三船史郎の演技には、素人の演技ながら何度も吹き出させられた。 無論、黒澤の名で足を運ぶ観客への目配せも怠りない。 冒頭の突き刺さるように降る豪雨。安宿で繰り広げられる歌と踊りのセッション。 そして、侍の首から噴き出す血など、ほとんど「椿三十郎」のパロディーかと思うほどのサービスぶりなのだ。 しかし、飄々とした演出で笑わせる小泉堯史監督のセンスは、明らかに黒澤明のものとは異なっていると思う。 大巨匠の縮小再生産の映画ではないかと思い込んでいた偏見を、大いに反省しましたね。 その上で、小泉堯史監督という新しい才能の登場を、心から喜びたい心境になりましたね。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2022-09-26

今劇団前進座が本篇の舞台化作品を都内で上演中と聴く。映画から演劇へまたその逆もあろう。黒澤明監督や小津安二郎監督作品を敬愛した山田洋次監督も暫しそんな試みに挑戦している。落語や歌舞伎等とともに

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2018-11-11

石倉三郎との赤提灯・対談で殺陣の修業に居合い道等を専門の師に就いて半年間、習ったと云う寺尾聰、映画に其処まで拘った黒澤明監督の遺志を継ぐように小泉監督にバトン・タッチした映画道の精神が垣間見れる…。恩師の憧れの巨匠・世界の黒澤監督からは、テレビ局の仕事で忙殺されない様にアドバイスも在った

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2018-08-31

一寸黒澤明監督の名作時代劇「赤ひげ」を連想させる庶民の味わいが感じられる…。小泉尭史監督の黒澤明監督へのオマージュが落ち着いた画面に現れ緩急自在な雰囲気も佳かったー。ロケシーンのフレッシュさも黒澤組の良いとこの継承として往年の日本映画の堂々たる光を醸し出していたんだ🎵🎶

最終更新日:2024-05-27 16:00:01

広告を非表示にするには