喝采の扉 虎度門 作品情報

かっさいのとびら

30年の芸歴を持つ広東オペラ(粤劇)のトップスター、リャン・キムサム(ジョセフィーン・シャオ)は、今日も鏡に向かって念入りにメイクを施し、現実と舞台を隔てる“虎度門”を通って舞台に出ていく。凛々しい男役がぴったりのキムサムには熱烈な追っ掛けファンも多く、その目を晦まして劇場から家に帰るのもひと苦労であるが、彼女は間もなくステージを引退し、実業家の夫と義理の娘と共にオーストラリアに移住することになっていた。彼女は西洋で舞台の勉強をした舞台監督ラム(デイヴィッド・ウー)を自らが経営する劇団に迎え、伝統的な歌劇に新風を吹き込もうとしていた。だが、伝統に固執するベテラン俳優がラムに抵抗、お互いの愚痴を聞かされる羽目になる。また、リャンは“虎度門”の反対側でも義理の娘ミミの同性愛発覚、夫の事業不振など、さまざまな問題を抱え、慌ただしい日々が続いていた。ある日、リャンは父親に連れられて粤劇の勉強をしたいというシンガポールの新進女優ユクション(アニタ・ユン)に会う。母親が不慮の事故で死んで以来、酒を飲むと暴力を振るう父親を庇いながら生傷が絶えないユクションを心配して、リャンはいつしか母親のように面倒を見る。リャンの劇団員となり念願のかなったはずのユクションには、どこか元気がなかった。彼女には医者を志すボーイフレンドのチュン(ダニエル・チャン)がいて、彼と離れて暮らすことが耐えられなかったのだ。先輩のメンバーが急遽産気づいて舞台に立てなくなったため、振り付けを覚えていたユクションが代役を務めることになった。ユクションを追ってきたチュンは、芝居を観に行くことをなぜか許さない母親の目を盗んで、彼女の舞台を観に来ていた。しかし、チュンの母親はリャンの楽屋に現れた。彼女は何年も音信不通だったリャンの旧友ランで、リャンがまだ無名だった頃に生んだ男の子を預かったまま行方が分からなくなっていた。再会を喜び合った後、チュンがその息子であることを聞かされたリャンは、将来のために若い二人を別れさせることをランに約束。しかし、やっと会えた息子に実の母親だと名乗り出ることはできなくとも、今までの分も何かしてやりたい。そう願うリャンの目には、それまで観ているようで見えなかった自分の家族のありのままの姿が改めて見えてくるのだった……。

「喝采の扉 虎度門」の解説

引退を目前に控えた広東オペラ(粤劇)のベテラン女優を主人公に、女として、妻として、母として力強く生きるヒロインの人生を描いた女性映画。香港返還に揺れる市井の人々の姿をも温かく見つめる視点が秀逸。“虎度門”とは、広東オペラ粤劇で、舞台と現実の世界を隔てる創造上の線のことを言う。「北京オペラブルース」(特別上映のみ)などの映画脚本もある劇作家のレイモンド・トウが手掛けた舞台劇『虎度門』を自ら脚色し、ドキュメンタリー「SUNLESS Days ある香港映画人の天安門」のシュウ・ケイが監督。製作はクリフトン・コウ、撮影は「世界の涯てに」のビル・ウォン、音楽は「女人、四十。」の大友良英が担当。子役時代からの長いキャリアを持つ、自らの俳優人生を投影させた熱演が光る主演は「女人、四十。」のジョセフィーン・シャオ。共演は「香港大夜総会 タッチ&マギー」のアニタ・ユン、人気歌手でこれが初の本格的な映画出演となるダニエル・チャン、「花の影」のデイヴィッド・ウー、「月夜の願い」のレイ・チーホンほか。第41回アジア太平洋映画祭主演女優賞、第33回台湾金奨主演女優賞受賞。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1997年11月1日
キャスト 監督シュウ・ケイ
原作トー・コクワイ
出演ジョゼフィン・シャオ アニタ・ユン ダニエル・チャン ディヴィッド・ウー レイ・チーホン チョン・ギンファイ
配給 アミューズ配給・提供
制作国 香港(1996)
上映時間 98分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:42

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