歌へ!太陽(1945) 作品情報
うたえたいよう
「微笑少女」それがこの劇場の歌手、梢の愛称であった。梢はいつも明るい微笑に包まれていた。彼女に接する人達は誰でも知らず知らず幸福な気持ちになってしまうが、それでいて梢自身は自分の存在がそんな効果を周囲の人達に与えていることには少しも気がつかない。その無邪気さが、梢をますます一座の人気者としていた。舞台でもその微笑に乗る美しい歌が、観客の拍手を巻き起こしていた。一座の男性歌手の幸雄は梢の愛人であった。二人の仲も梢の無邪気な微笑のために少しの暗さもない--まるで少年少女の間のような愛情であった。だから一座の人達が少しも二人のことに気がつかず矢張り陽気な歌手の浩一が梢に思いを寄せて悩むのも無理からぬ次第であった。浩一の父の直吉は同じ劇場の大道具方でこの父子の仲の睦まじいこと、傍の目も羨ましい限りだった。直吉と一緒の部屋にいる掃除婦のおまつ婆さんはそれに刺戟されて「今は遠くにいて会えないが私にも親孝行の息子がいる。いつも手紙や品物を送って寄越すのさ」と自慢を始めた。まつには以前口の不自由な息子があったのだが、今は亡くなって彼女の涙の種になっていた。この自慢話を誰よりも一番親身になって聞いてやったのは梢である。梢はまつの愛情が理解できる優しい気持ちをもっいていた。直吉がまつの息子のことは嘘だと言い始めた時、梢は兄の修吉に頼んで、臨時にまつの息子になって貰いまつの窮地を救ってやった。しかし兄の修吉と梢が一緒にいるところを目撃した浩一は誤解から梢から去ろうとした。直吉は修吉が偽息子だという事を見破った。まつの傷心を見ると梢の心は暗かった。が、梢は矢張りその「微笑少女」らしいやり方ですべての誤解を解いたのである。
「歌へ!太陽(1945)」の解説
「南海の花束」に次ぐ阿部豊演出の音楽映画。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
原作:菊田一夫
出演:榎本健一 轟夕起子 灰田勝彦 川田義雄 西條孝 高勢實乗 田中春男 竹久千恵子 大原栄子 中北千枝子 河野糸子 飯田ふさ江 鳥羽敏子 宮川五十鈴 尾崎幸子 豊原みのり 松川彩子 早川綾子 橘郷子 田邊よね子 登山晴子 高野千代子 大城政子 南弘子 陸奥弘子 岡村千鶴子 高橋玉江 堀切雪江 立花満枝 漆山信子 重田アサ子 諸岡英子 北川耕三 小森敏 伊達満 増山健吉 |
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配給 | 東宝 |
制作国 | 日本(1945) |
上映時間 | 51分 |
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