四谷怪談(1959) 作品情報
よつやかいだん
小普請組民谷伊右衛門は内職でやっと生活していた。女房お岩は叔父に夫の役付の運動を頼んだ。伊右衛門には秋山と関口という悪友がいた。伊右衛門は作事方組頭伊藤喜兵衛を訪ねた。進物が少いと侮蔑された。帰途、ヤケ酒を飲んだ。悪旗本にからまれた武家娘と乳母を救った。そのまま立去った。--お岩の妹お袖は浅草寺の楊弓店で働いていた。恋人の与茂七と世帯を持つのを楽しみに。秋山の仲間直助権兵衛は彼女に目をつけた。--伊右衛門の心は次第にすさんだ。お岩にもつらくあたった。下僕の小平が彼女をいたわった。直助が秋山の使いとしてき、伊右衛門を茶屋の一室に導いた。先日の武家娘と乳母が待っていた。娘は喜兵衛の娘お梅だった。陰で、秋山らがホクソ笑んでいた。いい金ヅルができた。--お梅は父に伊右衛門と会わせてくれと頼んだ。命がけだった。直助が二挺の駕籠を案内してきた。お梅が迎えにきたのだ。喜兵衛は伊右衛門を愛想よく遇した。恥じらいながらも、お梅は彼に迫った。--お岩は身体をこわした。流産の後の不養生のせいだ。高価な薬が必要だった。秋山らは何とかお梅と伊右衛門を結びつけたかった。お岩を、小平との不義を理由に離別させよう。小平は秋山らから折檻され、惨殺されてしまう。--直助が伊右衛門からのことずけと、お岩に薬をとどけた。すぐさまそれをのんだ時、お岩の身体に激痛が走った。鏡に、無惨に変った顔がうつる。髪をすくと、ばさりと抜け落ちた。秋山が訪れてき、伊右衛門がお梅と縁組することになったといった。お岩は秋山の脅しの刀にひるまなかった。秋山は白刃を柱にさしたまま逃げ去った。夫が帰ってき、彼女の密通をののしった。お岩は逆上し、夫に迫った。そのハズミに、秋山の残した刀がノドに突きささった。お岩は絶命した。秋山らはお岩と小平の死体を不義者として隠亡堀に流した。--伊右衛門はお梅と式を挙げた。その夜、お梅の顔がお岩のそれに見えた。伊右衛門は思わず斬りつけた。お梅が血をふいて倒れた。--お袖は直助から真相をききだした。それを伊右衛門がきき、直助の首を斬り捨てた。秋山らをも次々に斬った。捕手が囲んだ。“お岩、許せ。恨みは晴れたか”彼は絶叫すると、自決したのだ。虚空で、お岩のまぼろしが微笑しながら彼の霊をさし招いたという。
「四谷怪談(1959)」の解説
「千羽鶴秘帖」のコンビ八尋不二が脚本を書き、三隅研次が監督したおなじみの怪談もの。撮影は「山田長政 王者の剣」の牧田行正。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:三隅研次
出演:長谷川一夫 中田康子 鶴見丈二 近藤美恵子 浦路洋子 村田知栄子 林成年 高松英郎 荒木忍 杉山昌三九 須賀不二男 東良之助 嵐三右衛門 近江輝子 光岡龍三郎 志摩靖彦 伊達三郎 浅尾奥山 片岡半蔵 玉置一恵 堀北幸夫 岩田正 福井隆次 沖時男 大杉潤 春日清 遠山金四郎 浜田雄史 愛原光一 芝田総二 戸村昌子 小柳圭子 緑美千代 浜世津子 |
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配給 | 大映 |
制作国 | 日本(1959) |
上映時間 | 84分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:3.5点★★★☆☆、2件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-01
「四谷怪談」の主演の長谷川一夫は、天下の二枚目だ。
その彼が伊右衛門を演じるというので、厄介な問題が生じてしまった。
四谷怪談の主人公、民谷伊右衛門はおのれの欲望のためなら、人殺しも平気な極悪人だ。
だが、いかに夏の定番とはいえ、天下の二枚目に悪役はさせられない。
そこで、このジレンマを解決するため、ストーリーの大改変が行われたのだ。
すなわち、伊右衛門を上司の娘婿に仕立てて、出世の手蔓としたい周囲の陰謀で、彼は妻が不貞を働いていると信じ込み、死に追いやるが、遂にその真相を知り、悪人達と大立ち回りの末、これを討ち果たす。
もともと鶴屋南北の戯曲自体が長いので、映画化の際、かなりの脚色を行うのが常だったとはいえ、悪玉を善玉に変えてしまったのは、この作品くらいのものだろう。