人情馬鹿 作品情報

にんじょうばか

キャバレー・シルヴァースターの歌姫村田ユリの周りには彼女目あての男が何人か居たが、望みを遂げた者はなかった。建岡商会のセールスマンで、オートバイなどを売っている津川由男もその一人。母一人子一人の家庭に育った由男は、仲々の腕ききだが、許婚の芳枝をすておいてユリに夢中で、連日シルヴァースターに入り浸っては贈りものをしたりして、ユリと結婚する気でいた。その晩も、由男は無理して車を借りてユリをアバート迄送ったがユリはこうした男の心を問題にせず、鼻唄まじりに部屋へひきあげた。その頃、建岡商会では由男の使い込みがばれて、彼は警察に逮捕された。ユリも調べられて、彼など問題にしていないと言い放ったが、その言葉の裏には、由男のひたむきな求婚に対する彼女の心の動揺が潜んでいた。ユリは思い切って由男の母の許を訪れたが、母親の人情味あふれる言葉に、彼女の向っ気は完全に打ち破られた。ユリは検察庁にお百度をふみ、あらゆる手段をつくして、検事から事件解決の唯一の方策を聞くことに成功した。それは被害者から、由男の扱いになっている仮領収書を、借用証に書き換えてもらい、品物が届かなかったのを示談にしてもらうということだった。その日以来照っても降っても一軒一軒、被害者を廻って歩くユリの姿が見られた。根気と押しでユリは示談を成立させ、由男は釈放された。しかし、ユリの好意に感激して結婚しようとキャバレーに現われた由男を、ユリは素気なく追い帰した。思い切り悪く、まだアパート迄ついてきた由男をユリは閉め出し、扉の外からきこえる由男の声をよそに、鼻唄をうたいながら洋服を着換え始めた。

「人情馬鹿」の解説

“小説新潮”に発表されラジオ・ドラマにもなった川口松太郎の原作“人情馬鹿物語”を、「次郎物語(1955)」の清水宏(1)が脚色・監督して、人情馬鹿に徹した女を中心とする現代風俗を描いている。撮影は「高校卒業前後」の高橋通夫。主な出演者は、「柳生連也斎 秘伝月影抄」の角梨枝子、「赤線地帯」の菅原謙二、「豹の眼」の藤田佳子、「弾痕街」の三田隆など。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督清水宏
原作川口松太郎
出演角梨枝子 菅原謙二 滝花久子 藤田佳子 斎藤紫香 小山内淳 小原利之 進藤英太郎 志保京助 潮万太郎 船越英二 浪花千栄子 ジョー・オハラ 三田隆 根上淳 ジョー・オハラ 広川雅英 高村栄一 原田玄
制作国 日本(1956)
上映時間 71分

ユーザーレビュー

レビューの投稿はまだありません。

「人情馬鹿」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。

最終更新日:2022-11-09 02:00:04

広告を非表示にするには